レッドブルと来季のパワーユニット供給について交渉しているフェラーリは、メルセデス同様レッドブルが強敵になることを恐れて、1年落ちのエンジンを提供しようとしているといわれ、レッドブルは競争力のあるエンジンが手に入らない限りF1から撤退するという発言を繰り返している。
レッドブルはルノーと2016年末までの契約を結んでいるものの、これを今季末で解消しようとしている。来季はメルセデスエンジンを搭載することを望んでいたレッドブルだが、強力なエンジンを得て同チームが手ごわいライバルになることを警戒したメルセデスはこれを受け入れないことを決めた。
そうなるとレッドブルにとって現実的な唯一の選択肢はフェラーリのみということになり、現在両者は交渉を行っている。
フェラーリのチームプリンシパル、マウリツィオ・アリバベーネは一時前向きな発言をしていたが、決定権を持つ会長セルジオ・マルキオンネはメルセデス上層部と同じ悩みを抱えていると、F1商業面のボス、バーニー・エクレストンが認めた。
エクレストンは両者の交渉がまとまるよう最初に仲介を行ったものの、今のところフェラーリはレッドブルに対して1年落ちのパワーユニットを供給することしか考えていないとみられている。
「F1のためを考えるなら、彼(マルキオンネ)は喜んでエンジンを与えてレッドブルの競争力向上に寄与するだろう。しかし彼は自身のチームに対してダメージを与えたくはないと考えている」とエクレストン。
「レッドブルが(今よりいい)エンジンを手に入れれば、間違いなく強くなる。その心配があるため、彼は自分のチームを苦しめるかもしれないことに怯えているのだ」
「決めるのはセルジオだ。いずれにしても近いうちに結論は出るだろう」
「シンガポールでのレッドブルのパフォーマンスはマイナスに働いた。フェラーリは『我々のエンジンを載せたら彼らはどうなるのだろう』と考えてしまう。レッドブルはパワーが劣っているにもかかわらずいい戦いをしたからだ」
「だからフェラーリはレッドブルが同じエンジンを載せることを心配している。私としては心配はいらないと考えているがね。あれ(シンガポール)はドライバーズサーキットだ。40馬力違っても大して影響はないんだ」
レッドブルは2020年までF1に参戦する契約を結んでいるため、撤退の示唆は単なる脅しであると受け取られがちだ。しかしレッドブル・レーシングのチームプリンシパル、クリスチャン・ホーナーは、オーナーであるディートリッヒ・マテシッツの撤退発言は本気であり、今、レッドブルと姉妹チームのトロロッソは危機的状況にあると主張した。
「マテシッツは今、F1に幻滅している。そういう発言を繰り返し行っているので、私がなんとか解決法を見つけなければならない」とホーナー。
「来年に向けて競争力の高いエンジンを見つけるために力を尽くす。それが実現しなければ(レッドブルが撤退する)危険がある」
「レッドブルはフェラーリ、マクラーレン、ウイリアムズとは立場が違う。マーケティング上、F1から全世界的にメリットを得る必要があるのだ。そのためにはツールが制限されてはならない」
「2020年まで、できるならそれ以降もレッドブルをF1に残すため努力をしている。だがまだ不確かな要素がある」
「危機的状況だ。今の我々にはエンジンがないのだから」