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隠されているから知りたくなる? 中国の若者に「ホントの日本が知りたい」ブーム

2015年09月30日 11:30  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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9月28日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、中国で盛り上がりを見せる日本ブームを紹介した。いま中国の若者の間で、上海大学に通う留学生の山下智博さん(30歳)が人気だという。一見どこにでもいそうな普通の青年だ。

しかし上海の街を歩けば、あっという間に若者たちに取り囲まれ、写真をせがまれる様子はアイドル並みだ。人気のワケは、山下さんが制作したネット動画。流ちょうな中国語で、教科書では教えない日本語や、日本の若者文化をバラエティー番組のノリで紹介していく。

日本文化を紹介する「知日」は10万部発行

毎日1分間、半年間続けたところ、熱狂的な支持を受け、再生回数は累計2億4000万回にのぼった。中国のテレビは国が統制しているため、自由な映像表現に飢えていた中国の若者の心をつかんだのだ。

山下さんは中国に来る前は、日本人として理不尽ないじめや差別にあうことを想定していた。しかし来てみるとそんなことはなく、「皆優しく迎え入れてくれた」という。そんな山下さんは、中国で伝えたいことをこう語る。

「中国の学校教育だと、日本人のイメージは偏ってしまう。日本人の若者の考え方、リアルな日本を伝えたい」

日本文化を紹介する雑誌「知日」(ちにち)も売れている。「制服」「礼儀」「家族」など、毎月ひとつのテーマを深く掘り下げて特集する。発行部数は10万部で、雑誌が売れない中国では異例の数字。「笑い」のツボを日中で比較するというテーマでは、劇作家の三谷幸喜さんに取材をしていた。

知日を発行する編集長兼社長の蘇静(ソ・セイ)さんは、日本への留学経験もなく日本語も話せない。しかし、「気がつけば好きな映画や本は日本のものばかりでした」と語る。もっと日本について知りたいという思いから創刊したそうだ。

「日中は緊張しているが、庶民は気にしていない」

発売日には、書店レジ前に平積みになる人気。だが最近は当局の検閲が厳しくなり、2か月に1度の発行となっている。日清戦争をテーマに作った号は発行禁止になってしまったが、ソ・セイさんは雑誌を作り続ける意欲を失っていなかった。

「日中は緊張しているかもしれませんが、中国の庶民は気にしていません。主流かどうか分かりませんが、日本を知りたいという人はますます増えています」

現在も来日中国人観光客の「爆買い」が続いているが、その情報源は、なんと中国の普通のOLが運営するブログだという。人気ブロガーたちに話を聞くと、日本を良く思わない人から非難を浴びたことは「全くない」と話す。

こうした動きに、ゲストの坂下千里子さんは「反日と日本ブームのギャップが大きすぎて、どっちを見ればいいのか」と戸惑いの声をあげた。

政府の動きに騙されない都市住民

日本経済新聞社・編集委員の後藤康浩氏は、中国は「都市住民」と「農村に暮らす人々」の2つの社会を見なければいけないと解説した。

都市住民たちは教育や生活水準も高く、日本を訪れてイメージを変えることもあるという。一方農民はあまり情報に接する機会がなく、政府が反日と言えば反日に動く。

いずれにしても、外部からの情報はフィルターを掛けられて、等身大の日本の情報は中国では少ないのが現状だ。隠されていると思うからこそ、本当の日本を知りたいという意識が、もしかすると日本人より強いのかもしれないと感じた。(ライター:okei)

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