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KAT-TUNが『タメ旅』で切り拓いた新境地とは? 番組がもたらした4人の成長を分析

2015年09月29日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ。

 5度の特番放送を経て、2015年4月にレギュラー放送がスタートしたKAT-TUNの冠番組『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』(TBS系)。同番組がグループにとって、新たなファン層獲得に貢献していると話題だ。


 同グループは2006年、CDデビュー前に東京ドーム公演を達成。当時はジャニーズのなかでも一風変わったヤンチャなイメージが世間に浸透していたが、赤西仁、田中聖の相次ぐ脱退を乗り越え、今や中丸雄一は『シューイチ』、亀梨和也は『Going!Sports&News』(ともに日本テレビ系)と、4人中2人が報道番組に携わるグループに。そんな中、レギュラー放送がスタートした『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』(以下、『タメ旅』)では、メンバー全員が体当たりロケをしたり、一般人との無茶な絡みを強要されるなど、芸人ばりに体を張って笑いを取る一面を見せている。


 ジャニーズとしても新機軸といえる同番組について、『中居正広という生き方』や『紅白歌合戦と日本人』の著者で、リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載に持つ社会学者の太田省一氏はこう解説する。


「80年代くらいまで、ジャニーズにとってのバラエティ番組は、スタジオなど屋内収録のものが主で、コントなどをするにしても “歌とダンスのおまけ”程度のものでした、しかし、90年代に始まった『学校へ行こう!』や『ザ!鉄腕!DASH!!』以降、外ロケ主体の番組も多くなるにつれ、そのジャンルは多様になってきたように思えます。そのなかでも『タメ旅』は、“タレントがスタッフから積極的にイジられる”という最近バラエティで目立ってきた手法を効果的に用いており、対象が一般的にはまだ不良イメージの残るKAT-TUNだということも相まって、インパクトの大きい仕上がりになっていますね」


 また、同番組においてキーマンとなっているのは、ボクシングを特技とし、金髪ショートのルックスでいまだ不良感が残っているように見える上田竜也だという。


「この番組が盛り上がっている要素の一つに、上田のあまり知られていない一面を積極的に引き出しているという点があります。上田が4人のなかでも際立って純粋な性格であることは、ファンの間ではお馴染みだったものの、一般視聴者にとってはその見た目や雰囲気もあって、一番ミステリアスに見えるメンバーです。そんな彼が積極的にスタッフからイジられ、特技のボクシングすら『上田くん、シャドーやってよ』とフリに使われたり、無茶なリクエストにも全力で答えている様子を見て、彼の虜になった人は多いのではないでしょうか」


 続けて同氏は、番組を通して生まれたメンバー個々の成長にも注目してほしいと述べた。


「亀梨は一般人との絡みもとてもスムーズで食レポも上手く、メンバーと番組を的確にフォローする一面を見せ、中丸はまとめ役のしっかり者に見えて、食べ歩きの旅では真っ先にリタイアをくり返したり、肝試しに怯えるといった愛すべき“ダメキャラ”を新たに開拓しています。田口はバラエティに対する瞬発力がもとより高く、一発ギャグなどを度々披露してきましたが、最近はひとりでスベるというパターンではなくらず、上田を強制的に巻き込んで笑いに変えたり、そうでないときは後ろでにこやかにしていたりと、グループの潤滑油としての存在感をより増しています」


 最後に、同氏はグループにとって、同番組が持つ重要性について下記のように語る。


「ジャニーズのグループにとってバラエティでの成功は、各メンバーの個性がより色濃く出て、グループが安定して長続きすることにつながります。これまでKAT-TUNが出演してきたレギュラー番組では、キャラクターの片鱗は見せていたものの、ここまで4人の個性を活かしつつ、それぞれが立っていることはありませんでした。そういう意味でも、この番組はグループとしての寿命を延ばす、大事なステップのように思えるので、さらにパーソナルな部分が引き出されていくことを期待したいですね」


 来年デビュー10周年を迎えるKAT-TUNにとって、同番組がグループのさらなる躍進の支えとなるか。今後の展開に期待したい。(宮澤紀)