日本GP鈴鹿決勝の興奮が冷めやらぬ、翌日の月曜日、鈴鹿サーキットでファンを迎えたF1ファンミーティング スペシャルトークが行われた。ピエール北川氏のMCのもと、ゲストには浜島裕英氏、そして佐藤琢磨、松田次生が参加して、前日のF1を振り返るという内容だったが、この3人のゲストはいずれも仲が良いコアな組み合わせ。話は3人の興味に沿ってどんどんマニアックな方向へ。トークイベント時間の30分の内、技術的解説がほとんどを占めるという、コアなファンとってうれしい、なかなかレアなイベントとなった。
まずはピエール北川さんから、松田次生のフェラーリF187のデモラン中止についての慰めの言葉から始まったF1ファンミーティング スペシャルトーク。日曜の当日朝にFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)より、デモランは過去のF1ドライバーしかドライブしてはいけないという通告があり、松田次生のシートはマーティン・ブランドルのもとへ。これまで一度もF1マシンをドライブしたことがない次生は、悲願でもあった貴重な機会を失ってしまうこととなった。
「本当に残念でしたね~」とのピエールさんの呼びかけに、琢磨も「現役のプロなんだから問題ないはず。乗せてほしいよね」とフォロー。次生も「今回はF1に乗れるだけでなく、SRS-Fの同期で共に鈴鹿で育った琢磨選手も一緒だったので、なおさら乗りたかった。また鈴鹿さんお願いします!」と、改めて悔しがった。そこから話は自然とSRS-Fの話題へ。琢磨と次生と言えば、97年のSRS-F第3期の同期生。当時は「データロガーを琢磨選手がいっつも見ていて、見方が分からなかったので教えてもらった(次生)」。「同期全員のロガーを見て、トータルのタイムでは僕が早くても、あるコーナーは次生の方が速くて、どうして速いのか分析していた(琢磨)」。「ホテルが一緒の時が多くて僕は当時免許がまだだったので琢磨選手のクルマに乗せてもらった」(次生)。「あの同期の中で次生が一番、仲がよかったよね(琢磨)」などなど、当時の話題で大盛り上がり。
そこからはF1のロガーデータ、現在のサーキットでの走行とファクトリーでの双方向通信、セットアップなどの話題へ。浜島氏が「フェラーリでもサーキットのピットと同じような場所がマラネロのファクトリーにもあって、20~30人がレースの週末に同時に作業をしている。そこでセットアップデータが見れるし、無線も同時に聞けるんです」などなど、ここでしか聞けない話F1の裏話に。日本GP前のシンガポールGPのメルセデスの失速について琢磨が浜島さんに話を振ると、そこからはまた、タイヤの内圧、そしてブレーキとホイール温度と内圧の関係などなど、裏話をザクザクと披露。走行中の内圧を管理するために、ブレーキの熱気をホイール内にスリットを設けてホイールを温める方法を浜島氏が解説すると、琢磨や次生もトークショーということを忘れているような雰囲気で話題が進んでいった。
前日のレースの感想については、琢磨がマクラーレン・ホンダについて触れ。「今のF1は難しいなと思いましたね。DRSによって追い抜きの効果はすごくあったと思いますけど、フェルナンド(アロンソ)もジェンソン(バトン)も頑張っているのが分かるんですよ。でも、ストレートのピット前くらいで簡単に抜かれてしまう。DRSによって、前を走るドライバーはなにも抵抗ができなくなっちゃう。ストレートで両側から抜かれたりして、もうドライバーの気持ちが分かって見ていられないくらいだったけど、みんな、ホンダは絶対、絶対に上がってくるから来年、再来年、できれば来年に復活してほしいけど、それまで我慢強い応援をお願いしますね。また来年、そして再来年に復活することを楽しみに鈴鹿に戻ってきたいと思います」と、トークショーを締めくくった。
サーキットには平日の月曜日にも関わらず、多くのファンが詰めかけたF1ファンミーティング、スペシャルトーク。前日までのレースウイークとは違い、ストレート上、そしてピットの方では重機が手集作業を行う中でのトークショーは、祭りの後の雰囲気があってこれはまた、味わい深い。30分のトークショーだったが、ファンにとってはあっと言う間の時間になったようだ。このスペシャルトークの後には、決勝プレイバック上映として次生、浜島氏が引き続き振り返り解説。2015年の日本GPはまだまだ、終わらない。