OECDのウェブサイトには、各国の統計が掲載されています。仕事(Jobs)の欄には国別の平均賃金や就業率、労働時間、長期失業率、自営業比率などがまとめられていました。それぞれについて日本の傾向を見てみましょう。
就業率の男女差が大きく長期失業者の割合が高い
まず就業率について。最新のデータ(2015年第二四半期)によると、日本の就業率は73.2%で、2014年(72.7%)よりわずかに改善しています。OECD加盟国と比較すると、日本は36か国中9位。アイルランドやスイス、ノルウェー、スウェーデン、ニュージーランド、ドイツ、オランダ、デンマークに次ぐ高い部類に入っています。
男性に限ると、日本の就業率はさらに上がります。順位はスイス、アイルランドに次いで3番目で81.6%(OECD平均は73.6%)。これに対し、女性の就業率は36か国中16位で63.7%(OECD平均57.9%)で、男性と大きな開きがあります。
失業率はどうでしょうか。日本の2014年失業率は北欧ノルウェーと並んで3.6%と低く、3.5%の韓国に次いで下から2番目。ただし1年以上失業している長期失業者の割合が高くなっているのが特徴です。日本は「1年以上仕事のない状態」が2014年には37.6%、2013年には41.2%となっており、失業者の約4割を占めています。
OECD平均は35.1%で日本は36か国中21番目ですから、日本は失業者の少なさと比べると、長い間仕事を見つけられずにいる人の割合がかなり高いといえるでしょう。なお一般的に長期失業率が高くなる理由としては、労働市場の流動性が低いことが考えられています。
米ドルベースの賃金平均はOECDの平均を下回る
働いている人の賃金はどうでしょうか。2013年の日本の賃金平均は年36,481米ドル(約440万円)。OECD36か国中18番目で中位ではありますが、平均の44,837米ドル(約540万円)を下回っています。もはや日本人は世界的に見て高賃金とは言えないのかもしれません。
上位はルクセンブルグ、米国、スイス、アイルランド、ノルウェー。中位はドイツ、英国、フインランド、フランス。下位はメキシコ、ブルガリア、チェコ、ハンガリーです。OECD平均は年々上がっていますが、日本の賃金は90年からほぼ横ばいであることが特徴です。
減少しているものもあります。日本の労働時間は2013年には1734時間で36か国中20番目。OECD平均の1770時間を下回っています。この指標は1970年から集計されていますが、当時の日本の労働時間は2243時間でOECD加盟国中1位でした。
その後は順調に減少を続け、1997年に平均に並び、98年には平均を下回っています。OECD平均を見ると世界的に労働時間は低下傾向なのですが、1980年代以降に韓国、メキシコ、チリといった労働時間が長い国のデータが加わっていることで、低下傾向が緩やかになった側面があります。
2013年時点で労働時間が長いのは、メキシコ、韓国、ギリシャ、チリ、ロシア。短いのはドイツ、オランダ、ノルウェー、デンマーク、フランス。日本と同じくらいの長さに、ニュージーランド、チェコ、イタリア、カナダなどがあります。
雇われ人が多いから? 自営業率は23位
もうひとつ減っているのが自営業率です。自営業とは自身で事業をしている人や生産者組合のメンバー、店や農業を代表とする家業の手伝いを指しています。ここで言う家業の手伝いとは、給与は受け取っていないが家業の収入で暮らしている人で、商店や農業でよく見られます。日本は11.5%(2013年)でOECDのなかでは23番目。1955年の56.53%から低下を続けています。
世界的にも、米国(1955年18.03%→2013年6.61%)、韓国(1963年68.46%→2013年27.41%)、フランス(1956年33.99%→2012年9.69%)のように低下傾向にあるのですが、その一方でイギリス(1965年6.85%→2013年14.44%)やスロバキア(1994年6.3%→2013年15.55%)のように上がっている国もあるのが興味深いところです。
自営業率が2013年で上位なのはコロンビア、ギリシャ、トルコ、メキシコ、ブラジル。中位はベルギー、ニュージーランド、ベルギー、オーストリア。下位はアメリカ、ノルウェー、ロシア、カナダ、デンマークとなっています。
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