ついに開幕した2015年のF1日本グランプリ。しかし、初日の鈴鹿サーキットは終日にわたってウエットコンディションに見舞われ、各チームは一度もドライタイヤを試すことなく一日を終えることになってしまいました。
午前10時から行われた最初のフリー走行は、セッション後半にインターミディエイトタイヤを履いたドライバーもいましたが、結果的にタイムを記録したのは12台だけ。午後の2回目も前半に路面コンディションが回復の兆しをみせましたものの、後半は再び雨足が強まり、多くのマシンは10周前後で走行を切り上げることになりました。
ここまで初日に走りこみができなかったのは最近では珍しく、しかも明日以降の天気が晴の予報となっていることもより状況を難しくしています。25日23時の津地方気象台発表の予報によれば、フリー走行と予選のある土曜日が曇昼前から時々晴で降水確率は10%。日中の最高気温は27度となっています。また、決勝日の27日(日)も晴時々曇で降水確率は20%、最高気温は28度まで上がると予想されています。
雨の一日だった金曜のセッションが気温20度前後で行われたことを考えれば、まずまずのドライコンディションが見込まれる土曜午後の予選と、若干汗ばむ陽気も考えられる日曜の決勝は、普段の週末に比べて今回の走行データがあまり意味をなさないのは明らかです。メルセデスのルイス・ハミルトンをはじめ何人かのドライバーも、セッション後のコメントで述べているように「学べることは何もなかった。やるべきことはすべて明日やらなければならない」と、予選前に設けられた、たった60分のフリー走行で戦うマシンへと仕上げなければなりません。
ただ、そうは言っても、初日のフリー走行で上位につけたメルセデス、レッドブル、フェラーリにはそれなりのパフォーマンスが期待できるでしょう。特に前戦シンガポールで謎の失速を喫したメルセデスには注目です。彼らは、金曜日に最もコンディションの良かったFP2序盤で好タイムをマーク、インターミディエイトを履いたルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグが計測1周目でこのセッションの2番手、3番手となる1分48秒台を記録しました。トップタイムこそ、FP2中盤の雨が降りだす直前に1分48秒277を記録したダニール・クビアトのものとなりましたが、2台のメルセデスにとっては走り出しでまずまずのタイムが出たことは好材料。明日のドライセットを大きく踏み外さなければ、やはり優勝の本命にあげられるでしょう。
対するフェラーリは、セバスチャン・ベッテルが一日を通して31周、キミ・ライコネンも同じく31周とライバルたちよりかなり多くの周回を重ねました。ベッテルは「最初は期待していた状態ではなかったが、最終的にいろいろと学習することができた」と前向き。シーズン後半に入り、勢いを増しているだけにメルセデスとのタイム差がどんな形となって現れるのか、注目したいところです。
クビアトがトップタイムをマークしたレッドブルもウエットでは予想通りの速さを見せました。ドライでの苦戦は彼ら自身も覚悟するところですが、高いシャシー性能を誇るRB11はダウンフォースには定評があり、予選でなんとか上位に食い込めれば、オーバーテイクの難しい鈴鹿のコース特性を味方につけ、予想以上の活躍も期待できそうです。また、鈴鹿との相性が良いと言われるウイリアムズにも注意しておかなければならないでしょう。
いずれにしても今週末のカギを握る土曜のフリー走行。セッションは12時スタートです。