いよいよ今週末に開催されるF1日本GP鈴鹿。ホンダがF1に復帰して始めて迎える母国グランプリだが、金曜のFIA公式会見に登壇したホンダF1プロジェクト総責任者の新井康久氏は厳しい見解を予想した。
「母国に帰ってこれて、とても嬉しい。鈴鹿は私たちにとって特別な場所。20万人の従業員と、多くのファンがいます。彼ら全員が私たちの成功を信じてサポートしてくれている。大きなプレッシャーを感じますが、ホンダ、そしてマクラーレン・ホンダにとってはとても心地いい刺激です」と、新井氏は冒頭で鈴鹿に帰ってきた感想を述べた後、「それでも鈴鹿は世界でもっとも難しいサーキット。簡単には良い結果は出せないが、ベストを尽くしたい」と週末の厳しい展開を述べた。
記者からの質問では、来年に向けた2チーム目のパワーユニット供給の質問が出たが、新井氏は「同じような質問をたくさん受けますが、今はまだオファーは来ていません。他のメーカーに比べて、ホンダは来年も苦しい時期を過ごすことになると思う。それでも、ホンダはマクラーレン・ホンダとして、ワークスチームとしての強い絆がある。それ以外にプランはありません」と、ハッキリと来年の2チーム目供給に関する可能性を否定した。
その後、夜に開かれた日本人メディア向けの会見では、雨で走れなかった金曜日の走行に触れ、「やることが山ほどある。整理して順番を確認して、シャシー側も元の素の状態に近いので、明日以降も忙しくなると思います。土曜日も決勝と同じようなコンディションになればありがたい」と、週末の見通しを語った。
既報のとおり、マクラーレン・ホンダはFP1を終えてアロンソ車はパワーユニット(PU)を交換。しかし、どうやらユーズドのPUに変えただけのようで、今のところペナルティは発表されていない。一方、バトン車の方はエナジーストア、電子制御(ECU)を新品に交換。バトン車のECUは今季5基目の投入となることがFIAのテクニカルデリゲートより発表された。
「鈴鹿のデプロイメント(エネルギーの配分)は非常に厳しいものがある」と、日本人メディア向けの合同会見で話した新井氏。
「サーキットに入って、ファンのみなさんひとりひとりの声援は励みになります。ただ、どれだけいいレースができるかと言うと、我々のパワーユニットにとっては鈴鹿はやさしくはない。明日(土曜日FP3)の1時間が勝負かなと思っています。エネルギーマネジメントをここで全部完璧にできるとは、ちょっと思えない。エネルギーが全部足りているわけではないですし、的確な場所でコンマ1秒でもラップタイムが上がるようなエネルギーの使い方をFP3の1時間で考えなければならない。非常に忙しくなると思います」
その後、これまでのパワーユニットを採点すると、などの質問には、「みなさんが採点して下さい」と、明確な数字を挙げることを拒否した新井氏。「数字を挙げると、その数字だけが1人歩きしてしまうので言いません」と、新井氏はこれまでの報道に対しての不満を示唆し、週末の見通しに関しては「難しい」、「厳しい」という言葉を繰り返した。