プジョーは、2016年のダカールラリーに投入を予定しているプジョー2008DKR16を発表した。今年のダカールに投入した2008DKRから、ボディのワイド化、低重心化などが行われているほか、エンジンにも改良を施している。
1987年からダカール4連覇を達成し、“砂漠のライオン”の異名をとったプジョーは、今年1月に行われたダカールラリーに25年ぶりに復帰。バギータイプの後輪駆動車『2008DKR』を開発し、ダカールで5回の優勝経験を持つステファン・ペテランセルや2度のWRC王者カルロス・サインツ、2輪から転向したシリル・デプレという布陣で挑んだものの苦戦。優勝候補と言われながらも、最終的に総合11位で復帰戦を終えた。
2016年のダカールラリー挑戦にあたり、プジョーは2008DKRに大幅な改良を実施。ボディの全長と全幅を延長したほか、3リッターのツインターボディーゼルエンジンにも手を加え、パワーを向上させている。
また、砂丘や川底、岩場でも安定した走行が行えるよう前後のオーバーハングを短縮。加えてボンネットとルーフに装着されていたエアインテーク位置を変更し、空力性能を改善している。
サスペンションは新たに設計され、より幅広い路面コンディションに対応できるようにしたほか、ホイールやピレリタイヤと組み合わせた際の重量バランスも見直された。
プジョー・スポールでディレクターを務めるブルーノ・ファミンは、すでにモロッコでテストを実施していることを明かし、「マシンのあらゆる部分に手を加えた」とコメントしている。
「マシンの様々なエリアに小さな改良をいくつも施した。結果として、マシン全体に渡って改修が行われている状態だよ」
「テストは順調に進んでいる。また、アップデートを施した2008DKRで出場したチャイナ・シルクロード・ラリーではワン・ツーフィニッシュを達成することができた。我々は正しい方向に進んでいると確信できる結果だったよ」
マシンの順調な開発ぶりをアピールしたファミンだが、2016年のダカールラリーについては現実的な予想を述べている。
「まだプログラムの折り返し地点にも到達していないんだ」とファミン。
「プジョーのダカール参戦は3年計画で、我々の戦いは始まったばかりなんだ。もちろん、3年でダカールへの挑戦を辞める訳ではないよ」
「2016年のダカールで総合優勝を狙うと言うのは簡単だ。だが、2017年の方がより現実的だろう」
チャイナ・シルクロード・ラリーに参戦し、総合優勝を達成したペテランセルは、新型マシンに手応えを感じたと述べている。
「マシンが長く、幅広になったことに加え、重心も下がっているから、コーナリングスピードと安定性が向上していた」
「エンジンにも違いを感じたよ。パワフルになっただけでなく、低回転域でもパワーがあるんだ。今取り組んでいる問題は、どう効率的にエンジンパワーを使うかということ。いい意味で悩みがいのある問題だよね」
「全開でアタックできるレベルには至っていないが、テストでの感触も良かったよ」
2度のWRC王者であるサインツもペテランセルの意見に同調した。
「テストに参加したけれど、マシンは快調な走りをしてくれた」
「マシンのポテンシャルは遥かに向上した。それと同時に高い信頼性も維持していたよ。本当にたくさんの部分が変更されている。去年のマシンと比べても、まったくの新車だと言えるんじゃないかな」
「2016年のダカールラリーには楽観的な気持ちで挑めそうだ」