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中絶、退職しても「不倫相手の妻」に「慰謝料300万円」を支払わないとダメ?

2015年09月23日 06:01  弁護士ドットコム

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(弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに編集部が作成しました)


【関連記事:別れた不倫相手から慰謝料請求されてしまうことはある?】


「離婚できたら一緒になろう」は、不倫男の常套句のひとつ。そんな言葉を真に受けて、妊娠までしてしまった33歳の女性ですが、不倫相手の妻はそのことを知って自殺未遂。慌てた不倫相手から別れを切り出されます。その上、中絶と退職を余儀なくされました。その挙句、妻からは「慰謝料300万円」を請求されてしまいます。女性自身にも問題があったとはいえ、支払う義務はあるのか。柳原桑子弁護士に聞きました。


Q. 中絶、退職しても「不倫相手の妻」に「慰謝料300万円」を支払わないとダメ?


取引先の男性と不倫していました。


彼は、妻とは別居していると言い、私が妊娠したときも「認知と養育費は責任とりたい」「離婚できたら一緒になってくれ」と言っていました。


しかし、私たちのことを知った奥さんが自殺を図ろうとしてから、彼の態度がひょう変。


「本当に死ぬかもしれないから中絶してくれ」と懇願され仕方なく中絶しました。


さらには職場に不倫がばれて、私は退職に追い込まれ、あげく、今、彼の妻から慰謝料300万円を請求されています。


もちろん、彼と奥さんは離婚をしていません。


私自身にも責任はあると思っています。


慰謝料も払う気が全くないわけではありません。


ですが、中絶し、退職までして私自身も深く傷ついています。


慰謝料300万円というのは高すぎる金額ではないでしょうか?


A. 減額される可能性が高い


今回の例では、減額される可能性が高いでしょう。


慰謝料とは、不法行為の被害者が受けた精神的苦痛を金銭で賠償するものです。


裁判例では、不倫の慰謝料は数十万~数百万の範囲で決まることが多いです。


金額は、婚姻期間の長短や婚姻生活の状況(円満か不仲か等)、不倫期間、性交渉の頻度、妊娠の有無、婚姻関係を破綻させたか否かなど、個別事情が考慮されて決まります。


今回のケースでは、妊娠したものの、中絶し、さらには職場も退職し社会的制裁を受けたといえます。


また、男性と妻は離婚しておらず、婚姻関係の破綻には至らなかったようですので、これらの事情は、300万円という慰謝料を減額する要素になり得ると思います。




【取材協力弁護士】
柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
第二東京弁護士会所属。離婚事件・遺産相続事件など家事事件、破産事件、不動産関係事件などを主に扱っている。著書に「離婚手続きがよくわかる本」「よくわかる離婚相談」、監修「相続・贈与・遺言」など。
事務所名:柳原法律事務所
事務所URL:http://www.yanagihara-law.com/