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機能服がファッションの主流に ハイスペックな日常着のニーズ高まる

2015年09月22日 15:02  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

TEÄTORA 大容量の収納に特化しコンパクトに丸めることができるパッカブルコート
機能性を重視したウェアが、ファッションのメインストリームに躍り出ている。かつてはスポーツやアウトドアメーカーの得意分野だったが、より快適な日常着が求められる傾向もあって、ウォッシャブルや温度調節といった機能をデザインに落とし込むファッションブランドが増えてきた。一方でスポーツメーカーは、積極的に高いデザイン性を取り入れている。

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 ダウンジャケットで知られる「モンクレール(Moncler)」や、アウトドアスタイルを体現する「バブアー(Barbour)」といった、欧州の老舗ブランドがデザイン性を兼ね備えたタウンユースのウェアを強化することで成功を収めるなど、スポーツやアウトドアとファッションの関係性がより密接になっている。国内ブランドでは、10年前のデビュー時から一貫して「服を着るフィールドは全てアウトドア」をコンセプトに実用性とデザインを融合している「ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)」が、売上2ケタ増と右肩上がり。3シーズン前からスポーツの要素や機能的な技術を反映したイージーウェアを展開している「エヌハリウッド(N.HOOLYWOOD)」も、2ケタ増と好調だ。
 環境やワークスタイルに沿った機能服に特化している「テアトラ(TEÄTORA)」は、2013年のデビュー時はボトム2型のみだったが、2016年春夏シーズンではウェアから小物まで約50型に拡大した。デザイナーの上出大輔は「生活を良くするツール」と捉える服について機能面を徹底的に研究。デスクワークにフォーカスしたパンツ、ノマドワーカーのために複数のポケットを備えてあらゆる収納を可能にしたハンズフリーシリーズ、そしてコンパクトに丸めることができるパッカブルシリーズがバイヤーに好評だ。シーズンごとに進化させるという概念で素材や技術のアップデートを繰り返し、卸先は全国に拡大。本格的な海外展開も視野に入れているという。
 "ラグジュアリースポーツ"の流行やスニーカーブームが継続している近年では、ファッションデザイナーを起用するスポーツメーカーが相次いでいる。また、機能素材といえば主にアウトドアウェアに使用されてきたゴアテックスやポーラテックといった海外ブランドが知られていたが、三井物産のパーテックスやプリマロフト、そして日本の北陸地方を産地とする高品質の合繊素材が注目されるなど、選択肢が広がっている。スペックを求める志向は男性が顕著だが、心地よい日常のための機能服の需要は、男女問わず今後も高まりそうだ。