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SMAP中居正広とタモリの“職人的な師弟関係”とは? 『ヨルタモリ』最終回ゲスト出演の意図を読む

2015年09月20日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 9月20日に放送されるテレビ番組『ヨルタモリ』(フジテレビ系)の最終回に、SMAPの中居正広がゲストとして出演することが決定した。


 これは13日に放送された同番組のエンディングで明かされたもので、番組内で様々なキャラクターを演じていたタモリも、最終回にはタモリ本人として登場。『笑っていいとも!』で20年間共演した両者のトークに注目が集まるところだ。


 インターネット上では以前より、「最終回のゲストは誰か?」という議論がなされてきたが、ここで中居を抜擢した意図とは何だろうか。『中居正広という生き方』や『紅白歌合戦と日本人』の著者で、リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載に持つ社会学者の太田省一氏は、タモリと中居の共通点をこう語る。


「中居とタモリの関係は、彼が『笑っていいとも!』のレギュラーとなった1994年からスタートし、以後20年にわたって互いに身近な存在として番組を作り上げてきました。グランドフィナーレでは、中居も『タモリからMCとしての在り方を学んでいた』という旨の発言をしていましたが、なにも最初からそうだったというわけではありません。最初は香取慎吾とともにレギュラーになり、自分たちがいかに前に出るかを意気込んでいましたが、次第にタモリをいかにサポートするかというチームワークの大切さを悟るようになっていきました。そうした経験を通して中居が身につけたのは、場の雰囲気を敏感に感じ取って、上手く身をゆだねる『仕切らない仕切り』ともいえるようなタモリの司会スタイルに近いのではないでしょうか」


 また、同氏は2人の絆について、以下のように続けた。


「過去に中居は『AERA』のインタビューで『仕事をするうえでは、感情を安定させていたい』と語ったり、テレビでも『好きな人も嫌いな人も作らない』といった発言をしています。そこにもやはり、出演者の雰囲気や番組の流れを見て全体を面白くする方向にもっていくというタモリの司会スタイルからの影響が感じられます。30歳にしてMCとしてやっていく決意ができたという話も、それまでの『笑っていいとも!』での共演経験が大きかったように思います。ただ、タモリと中居は師弟関係らしさを表で見せることはほぼありませんでした。『笑っていいとも!』のグランドフィナーレで中居が披露した「タモリさんが酔っ払って、僕のこと優しく抱きしめて、頭なでてくれて、「中居、お前に感謝してるからな」と言ってくれたのがすっごくうれしかったです』というエピソードからもわかるように、“背中で学ばせる”ことが多かったのではないでしょうか」


 最後に、太田氏はテレビ史における『ヨルタモリ』の位置づけを定義しつつ、最終回への期待を語った。


「『ヨルタモリ』に関しては、デビュー当時のタモリがやっていた密室芸のようなものが再び見られる楽しさがあると同時に「セッション」感覚の面白さがあると思います。実際、ゲストを交えた即興の歌や演奏があるというだけではありません。この番組では、架空のバーにタモリが様々なキャラクターに扮して登場し、ゲストと初めて会ったていで雑談のような会話が進んでいきます。それもまた「セッション」的だと思います。その意味で、ジャズマンとしての一面をもつタモリのパーソナリティーが最大限に活かされています。ただ最終回では、タモリもこれまでのキャラクターではなく本人として出演するようなので、逆に予測がつかないワクワク感があります。また中居がMCとしてでもSMAPの一員としてでもなくタモリとじっくり番組で話すことはこれまでめったになかったでしょうから、『笑っていいとも!』時代の話を含め、どのようなトークが展開されるのか要注目ですね」


 これまであまり表立って放送されてこなかった2人の絆が、番組を通してどこまで明かされるのか。本放送を楽しみに待ちたい。(宮澤紀)