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三浦春馬、スザンヌらも支持するC&K その音楽性から人気の背景を読む

2015年09月20日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

C&K

 2010年にメジャーデビューした男性2人組のボーカルユニット「C&K」が、9月16日に新曲『キミノ言葉デ』をリリースした。本作は彼らにとって13枚目となるシングル。“言葉の持つ力”をテーマにした歌詞の良さもさることながら、ふたりの武器である高音域のハーモニーが存分に発揮されたミドルチューンで、かねてよりファンの間でも最高傑作と評価が高かった1曲だ。満を持しての音源化に注目が集まり、事前プロモーションほぼなし&ノンタイアップ、さらにCD発売前にもかかわらず、先行配信開始当日のiTunesチャートでいきなりの2位を獲得。CDが発売されると、自己最高位のオリコンデイリーチャート7位を獲得するなど、早くもヒットを記録している。


 栃木県出身のCLIEVY(クリビー)と鹿児島県出身のKEEN(キーン)からなる「C&K」。テレビなどのメディアに登場することこそ少ない彼らだが、昨今、実力派としてじわじわ知名度を上げてきた。その足跡は、これまでの活動が生んだ数々の“功績”が物語っている。


 昨年行われたマリンメッセ福岡のライブでは1万人を沸かせたほか、大物アーティストしか成し得なかった鹿児島アリーナ2DAYSが即完するなど、動員面での凄まじさがまずひとつ。そして、ライブにやってくる観客が楽曲の振り付けを完璧にマスターしていたり、ファンクラブの会員数が1年間で倍増するといったファンの熱気。さらに、三浦春馬やスザンヌら多くの著名人をファンにもつ業界ウケの良さが挙げられる。実際、前述した「キミノ言葉デ」のiTunesチャート記録時には、プロ野球広島カープの大瀬良大地選手、モデルやタレントとして活躍するJOY、お笑い芸人の天竺鼠やプロフィギュアスケーターの鈴木明子選手などが、Twitter などSNSを通して楽曲の魅力を発信していた。ドラマや映画のタイアップで一時のブレイクを狙うのとは真逆の、熱心なファンからじわじわと口コミで広げていく戦略が、ここまで着実に効果を上げている。


 では、なぜ彼らに熱心なファンがつくかと言えば、キモになるのはその音楽性の豊かさだ。ディスコやファンク、ソウル、レゲエなどのブラックミュージックから、フォークや80年代の歌謡曲まで。ジャンルを大胆に横断しつつ、それらを独自の感性で組み合わせた楽曲(本人たちは“JAM”(ジャム)と呼ぶ)は、激しいダンスチューンありしっとり系バラードありと実に多彩。さらにW美声で繰り出すボーカルワークは一聴しただけで、そのクオリティに圧倒されるほど。また、ライブに行けば、全身で観客をノせ、踊らせ、トークで笑わせたかと思えば時に泣かせ、とエンタメ色の強いステージングを展開。ライブリピート率も極めて高いと聞く。作曲力、歌唱力、ライブ力と、アーティストとしてのポテンシャルは十分、なのにまだまだブレイク前で伸びしろを感じさせる佇まい。自分たちの応援が彼らをより高みへと押し上げる糧になると、ファン自身も知っているのだろう。「C&K」も彼らを“四池(しいけ)さん”と呼んで家族のように大切にしている。そんなファンとの蜜月関係が、何よりも彼らの強みだ。


 10月14日には約2年ぶりとなるアルバム『CK MUSIC』をリリース予定。その後は、両国国技館公演2DAYSが控えている。セールス的にもキャリア的にも、おそらくここが勝負どころ。それにはやはり、新曲「キミノ言葉デ」がどれだけ幅広い層にリーチできるかが決め手となるはず。果たしてこの曲が新たなファン層を増やすフックとなるか。今後の動向にも注目していきたい。(板橋不死子)