突然だけど、僕は生まれてこの方、自分を完璧な人間だと思ったことが一度もない。性格は悪いし、酒癖も悪いし、約束もすっぽかす。キャリコネ編集部との打ち合わせだって、前日お酒を飲み過ぎて一度お流れになったほどだ。
けど、そんな僕が強く思うのは、そもそも完璧な人間なんて存在してやいないということ。
思い返せばこれまでの人生で、「あ、コイツは完璧超人だ」と思った人間なんて、1人もいなかった。みんなどこかで弱点を抱えているものだ。
さて、9月15日の「スッキリ!!」(日本テレビ系)で、興味深いデータが紹介されていた。国立青少年教育振興機構が、日本の高校生1850人を対象に行った調査で、なんと72.5%もが「自分をダメな人間だと思うことがある」という回答をしていた、という。(文:松本ミゾレ)
「スタイルも顔も性格もダメ」と自分を卑下
海外と比較すると、「自分をダメな人間だと思う」の高校生の比率は、韓国では35.2%、アメリカは45.1%、そして中国が56.4%となっている。日本は際立って高いことがうかがえる。
それにしたって、どうして日本は際立って高校生がネガティブなのだろうか。番組のインタビューに対して、高校生たちが「自分はダメだ」と思う理由を並べてみる。
「だらしないから色んなことが上手く進まない」
「スタイルも顔も性格もダメ」
「すぐにカッとなって気分屋と言われる」
なんか可愛い理由ばっかり! 「スイーツ食べたいけど太るから困る」レベルじゃないか! もちろん、シビアすぎる声はカットされてる可能性もあるけど、ファッション感覚で、とりあえず自分をダメだと卑下しているだけのような気もする。個人的には、正直なんか「昨日寝てないんだよね」系の誰も得をしない自己主張っぽい印象を抱いた。
むしろ高校生に「自分はダメだと思う?」とか聞いちゃう方がダメ
もちろん、インタビューでは逆に自分のことをダメとは思わないと言い切る高校生も登場している。
「これができなくても、私には他にできることがあるんだ」とポジティブに考えるようにしていると話す女の子は、はつらつとした良い笑顔を見せてくれた。でも、こういう子はごく僅かだとナレーションが釘を刺す。
番組もわざわざ街に出て高校生50人捕まえて「自分はダメな人間だと思うことがある?」と聞いている。その結果、「思う」37人、「思わない」13人という結果になったようだ。やっぱり自分をダメと認識している若者は多いのかも。
まあ、彼らが本当にダメかはさておき、マジでダメなのはこういう質問をわざわざ街頭でマイク向けて聞いちゃうスタッフなんだけどね。たとえ些細なインタビューでも、大人が子供を腐らせる要因になっちゃいけないよ。
「日本の子どもは中高生になると褒められるチャンスが減る」
番組では、国立青少年教育振興機構、青少年教育研究センターの明石要一氏が、高校生の自尊心の低さをこう説明していた。
「日本の高校生はシャイと言うか控えめなところがある。アメリカ、中国、韓国はハッキリ物を言う習慣がある。日本人の場合は自分の主張をするのがものすごく苦手」
つまり、日本人の慎ましい国民性が、今回の調査結果の要因の一つ、ということのようだ。とすると、なにも高校生だけに限らず、日本人全体が「自分はダメな人間だ」と思っている人だらけということかもしれない。ということは、高校生だけの問題ではない。
さらに、明石氏は日本の子供が成長するまでの過程についても言及していた。
「小学校の低学年ぐらいまでは親からすごく褒められる。これが中高生になると、家庭や学校で褒められるチャンスが減っていく。そういうことが高校生の自尊感情の低さに左右している」
反抗期の子にしてみれば、いつまでも「良くやったね、偉いね」と両親から褒められるのは嫌かもしれないけど、だからと言って一切しなくなると、明石氏の言うところの自尊感情に影響がでる可能性がある。人間やっぱり、定期的に誰かに褒めてもらわないと腐るからね。
色々と考えてみたんだけど、あんまり深刻な問題とも思えなくなってきた。前述のように、とりあえずファッションで「自分はダメ」と言ってるだけの子供って絶対いると思うし。
それになんと言うか、大人が「いや、私なんかまだまだ」とか言ってる謙遜の文化を、しっかりと子供たちも継承しているだけのような。本心ではあんまり深刻に「俺はダメだぁ」なんてのは考えてない子ばっかりなのかも。自分もそうだったしね。
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