世界耐久選手権(WEC)第5戦オースティンの予選が、現地時間17時45分から行われた。ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組の18号車ポルシェ919ハイブリッドがポールポジションを獲得した。17号車ポルシェ919ハイブリッドも2番手に続き、ポルシェがフロントロウを独占した。2列目にはアウディR18 e-トロン・クアトロの2台が続き、トヨタTS040ハイブリッドは3列目。LMP2クラスは47号車KCMG、LM-GTEプロクラスは99号車アストン・マーチン・レーシングV8、LM-GTEアマクラスはハリウッド俳優のパトリック・デンプシー率いる77号車デンプシー-プロトン・レーシングが、それぞれクラスポールポジションを決めた。
まずは10時30分から、予選を見据えたフリー走行3回目が行われ、前日のフリー走行同様、ポルシェ919ハイブリッドの速さが目立つ結果となった。17号車が1分46秒435でトップ、18号車も0.3秒差で2番手。アウディR18 e-トロン・クアトロはトップから約1秒遅れである。トヨタはそこからさらに約1.7秒遅れる5番手6番手と、ここでも大きく遅れを取っている。LMP2は36号車シグナテック・アルピーヌ、LM-GTEプロクラスは92号車ポルシェ・チーム・マンタイ、LM-GTEアマクラスは98号車アストン・マーチン・レーシングがトップタイムを記録している。
17時45分と夕刻にも関わらず、気温30度以上、路面温度も40度以上の非常に暑いコンディション下で始まった予選。まず行われたのは、LM-GTEクラスの予選セッションである。14台のマシンが一斉にコースインしていき、ひとり目の走行でトップタイムを記録したのは、リチャード・リエッツがドライブした91号車ポルシェ・チーム・マンタイ。タイムは2分05秒952である。フレデリック・マコウィッキの駆る92号車ポルシェ・チーム・マンタイが2番手に続き、アマクラスでは83号車AFコルセがトップだ。
ドライバーが乗り代わってふたりめのアタックが開始されると、まずは99号車アストン・マーチン・レーシングV8のリッチィ・スタナウェイが2分05秒777を叩き出しトップに浮上する。スタナウェイは続く周回でも2分05秒672と自らのタイムを更新して後続との差を広げ、平均2分05秒872としてLM-GTEプロクラスのポールポジションを決めた。2番手には91号車ポルシェ・チームマンタイ。ふたり目のドライバーであるミハエル・クリステンセンは2分06秒317と振るわず、99号車にポールポジションを奪われる結果となっている。以下97号車、95号車とアストン・マーチンが続いた。アマクラスでは、77号車デンプシー-プロトン・レーシングのパトリック・ロンが最後の最後で素晴らしいアタックを決め、クラスポールを獲得している。
続いてLMPクラスの予選。フリー走行ではポルシェ勢が速さを見せており、その真価が注目されるところだ。しかし、各車がコースインした直後にレッドフラッグが掲出。これは、ピットレーンの出口にマシュー・ホーソンがドライブする47号車KCMGがストップしてしまったためだ。各チームはこれにより、一度ピットレーンに戻り、仕切り直しとなる。
計時が17分06秒まで戻され、セッション再スタート。1号車トヨタTS040ハイブリッドのセバスチャン・ブエミを先頭に、アタックラップへと向かっていく。そのブエミのタイムは1分48秒927。しかしブレンダン・ハートレーが駆る17号車ポルシェ919ハイブリッドが1分46秒625で、ひとり目のアタックでトップに立つ。以下7号車、8号車のアウディR18 e-トロン・クアトロが続き、18号車ポルシェ919ハイブリッドが4番手。トヨタは2号車が5番手、1号車がそれに続き6番手だ。LMP2クラスは42号車ストラッカ・レーシングが1分57秒005でトップ、43号車チーム・サード・モーガンが続き、赤旗の原因となった47号車KCMGが3番手である。
続いてふたり目のドライバーのアタック。ブノワ・トレルイエが7号車アウディR18 e-トロン・クアトロのリヤを滑らせながらアタックするも、1分48秒790まで。一方、17号車ポルシェ919ハイブリッドは、ティモ・ベルンハルトが1分46秒125でトップをキープ。18号車ポルシェ919ハイブリッドがあっさりとアウディ2台を上回るタイムを記録して2番手に浮上する。ポルシェはこれでフロントロウ独占を確信したのか、セッション終了を待たずしてマシンをピットインさせた……かに見えたが、再びコースインした18号車ポルシェ919ハイブリッドのニール・ジャニが1分46秒405を記録。平均1分46秒211として、最後の最後で逆転のポールポジションを決めた。
コースコンディションの一番良いところと使って、一発アタックにかける作戦だったのか、トヨタの2台はふたり目のドライバーのコースインを、セッション終了ギリギリまで遅らせる。しかし、1号車トヨタTS040ハイブリッドの中嶋一貴は1分49秒212を記録し、2号車の前に出るのがやっと。ポルシェ勢には約2.8秒の差をつけられてしまった。アウディ勢は8号車が3番手、7号車が4番手につけている。
LMP2は、KCMGが リチャード・ブラッドレーが1分56秒486を記録して平均1分56秒834としてクラスポールポジションを獲得。26号車G-ドライブのサム・バードが1分56秒296というクラスベストのタイムでチームメイトのペースを補い、クラス2位につけた。