9月9日の参議院本会議で、いわゆる同一労働同一賃金法(正式名称:労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案)が可決、成立した。
改正派遣法の成立に合わせ、野党3党がおもに「派遣労働者と派遣先の正社員との待遇格差の是正」を進めることを想定して提出したものだ。
この法案の審議にあたり、参議院の厚生労働委員会は9月8日、11項目もの附帯決議を採択している。この中に、派遣労働者の交通費の扱いについて言及したものがあり、派遣で働く人からの注目を集めている。
「社員でなければ支給されないのが当たり前」が変わるか
注目されているのは附帯決議の8番目で、次のような項目が掲げられている。
「派遣労働者であることによって特段の理由なく通勤手当が支給されないことは不合理であると考えられることから、派遣労働者への通勤手当の支給を促進するための対策について検討すること」
派遣労働者への交通費支給については、これまで「社員ではないので支給されないのが当たり前」とされているが、それでもネットには「不公平だ」という不満の声が絶えない。同じ仕事をしているのに、正社員だと交通費が出て、派遣社員だと出ないのはおかしいというのだ。
中には「派遣社員の場合には時給に含まれている」という説明をする派遣会社もあるが、このような支給方法の場合には「交通費は月10万円まで非課税」というメリットが得られないとして、別途支給すべきという指摘もある。
なお附帯決議とは、法案の可決に当たって国会の委員会の立法意思を示すものとされている。法的な拘束力はないが、事実上の法規範として機能しうるという見方もある。
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