トップへ

丸本莉子が新作で見出した、自身の価値と目標「歌い継がれていく曲を残したい」

2015年09月14日 19:01  リアルサウンド

リアルサウンド

丸本莉子

 ハイレゾ先行配信されたメジャーデビューシングル「ココロ予報」がハイレゾ主要3サイトのデイリーチャート1位を獲得し、新人としては異例の三冠を達成する好スタートを切った丸本莉子が、1stミニアルバム『ココロ予報~雨のち晴れ~』をリリースする。「ココロ予報」をはじめ、2作目の配信シングル「やさしいうた」、荒井由実のカバー「やさしさに包まれたなら」、など話題曲に加え、ボーナストラックにスタジオライブ2曲を収録。一度聴いたら忘れないパワフルでハスキーな、それでいて優しい深みのある独特の歌声と、飾らない言葉、伸びやかなメロディ。これ1枚で彼女の世界がわかる、心温まる作品だ。(宮本英夫)


・「歌詞はたぶん、あの時にしか書けなかった」


ーーデビュー曲「ココロ予報」を含む待望のファーストミニアルバム『ココロ予報~雨のち晴れ~』が完成しました。今作に入っている曲は、いつ頃作ったものですか。


丸本莉子(以下、丸本):「コトバ」「愛した人」「心のカタチ」(ボーナストラック)が上京前に書いた曲です。あとは全部、そのあとですね。


ーーちなみに一番古い曲というと?


丸本:「コトバ」という曲が、たぶん高3の時に作った曲です。一緒に練習している音楽仲間がいて、「プロを目指そう」みたいな人がいたんですけど、ケンカしちゃって、疎遠になってしまって。その時に浮かんだ曲ですね。


ーーその人のことを思い浮かべながら?


丸本:そうですね。仲直りしたいから「橋で待ってる」って言われたんですけど、来てくれなかったんですよ。これはもう終わりだなと思った時に、一人でこの曲を作りました。まさかそれが最初のアルバムに入るとは、思いもしなかったんですけど(笑)。アレンジを施すことで、高校生の時に書いたとは思えないカッコいい曲になっているので、良かったなと思います。でも歌詞はたぶん、あの時にしか書けなかった思いなので。


ーー実話ですよね。丸本さんの曲って、実話が多いですか。


丸本:それもありますし、テーマがあって書かせてもらうこともありますし。こういう思いを感じた時に、これを歌にしたいなと思うことが多々あるので、それを書き留めておいて、「この曲にこの言葉がハマるな」と思った時にそれを使ったりします。


ーー「ココロ予報」は、テーマをもらって書いた曲でしたよね。


丸本:はい。アルバムのタイトル通り、「雨のち晴れ」がテーマだったんです。上京して初めて書いた曲で、プロデューサーさんもいる中で、テーマに合わせて書くことがすごい大変で。カッコつけずにありのままの自分を書きなさいと言われて、私にとって「雨のち晴れ」って何だろう?と思った時に、曲を書けない今の状況がまさにそうで、「これを乗り越えたらこの先きっと何かが待っている」という思いで書いた曲です。初めて自分自身の本当の気持ちを書いた気がして、それをたくさんの人がいいと言ってくださって、すごく自信になりました。偽りなく書いたから共感してもらえたのかな?と思って、そこから曲作りが変わりました。


・「一番重要なのは声とメロディ」


ーー「やさしいうた」はどうですか。


丸本:これはもともと、ある本を読んで書いた曲なんですけども、もともと家族をテーマに書いていて、シングルで出すことになった時に、私にとって今大切な人は家族だけども、恋人だったり友達だったり、それぞれにいろんな大切な人がいると思うので、テーマを広げました。この曲を歌いながら、自分も一緒に成長していけたらと思っていて、いろいろ経験しながら、どんどん重みが増していく歌なんじゃないかなと思います。


ーー「愛した人」は、何かもとになる物語がありそうな気がします。


丸本:これは浮気の曲です(笑)。「目をそらさないで言ってみてよ」と。失ってもいい覚悟で浮気してるの?というところから、妄想で怒りをぶつけた曲です(笑)。


ーーそして「僕の名前をつけてくれた日」。


丸本:これはペットと家族の絆をテーマにした番組のための曲として作りました。一番大変でしたね。犬の気持ちで書いてくれと言われたんですけど、犬になったことがないので(笑)。無茶振りだなーと思いながら。でも私も実家でワンちゃんを飼っていて、愛しいと思うんですよ。その気持ちはたぶん向こうもそうで、「私がこう思ってるんだからきっとワンちゃんもこう思ってくれてるよな」という思いを書きました。


ーーそして荒井由実「やさしさに包まれたなら」のカバー。とても似合ってます。


丸本:ありがとうございます。


ーーユーミンさん、好きですか。


丸本:好きです。歌詞が好きで、世界観がすごくありますよね。メロディがキャッチーじゃない曲でも、歌詞が耳に残ったり、印象が違うので。歌詞がすごいところを勉強させてもらってます。


ーーちょっと声が似てると思いました。ハスキーな感じが。


丸本:私も歌ってて、全部というよりは、どこか似てるなと思いました。キーもたぶん似ているので、すごく歌いやすかったです。先日声の分析をしていただいたんですけど、私の声は松任谷由実さんや井上陽水さんと同じ周波数の声が出ているらしくて。そんな結果が出てうれしいんです。


ーー曲を聴く時に好きになるポイントは、歌詞ですか。


丸本:いろいろですね。歌詞であったりメロディであったり、特に決まりはなくて……でも一番重要なのはメロディかもしれない。声とメロディですね。その人の個性が一番出るところだと思うので。


ーー丸本さん、声にコンプレックスがあったと聞きました。


丸本:ちっちゃい頃は男の子に間違えられてました。お父さんには「カエルみたい」と言われるし(笑)。お遊戯会とかで、私の声だけ通りが良くて、外れて聞こえるんですよ。それが恥ずかしかったです。でもカラオケが大好きで歌っていて、いつのまにか……という感じですね。


ーー長所というか、最大の個性になったみたいな。


丸本:でも私自身はあんまり思ってなくて、高校生の時にデモを作っている時も、やっぱりヘンな声だなと思っていたんですけど。ライブをしていくうちに、「声が特徴的だね」といろんな人に言ってもらえて、やっと自信がつきました。「私の声っていいんだ」って。


・「歌い継がれていく曲を残す」


ーー今回のアルバムは、前向きで、優しい曲が多いですよね。元気の出るような。


丸本:そうですね。いろんなことについて書きたいんですけど、たまたまシングルになったのがそういうテーマが多いからかもしれない。意外に暗い曲もあるんですよ。でもたとえ失恋を歌っても、マイナスな心からプラスになっていくということは大切にしてます。でも、めっちゃ暗い曲もあります(笑)。そういう曲は、ライブで表現していけたらいいなと思います。


ーー丸本さんにとって歌うこととは?


丸本:ちっちゃい頃から、普通に死ぬのがイヤだったんです(笑)。私が死んだ時に、でも歌は残っているという、曲を残したいんです。それが一番ありますね。こうやってたくさんの人に支えてもらってるので、結果を出したいという気持ちが一番あります。この間、小豆島の島フェス(「shima fes SETOUCHI 2015」)に出させてもらった時に、高木ブーさんと一緒になったんですよ。もう82歳なんですけど、めっちゃ声は出てるし、「いい湯だな」をみんなが知ってて、みんなが“ババンババンバンバン”ってやるのにすごい感動して。ああやってたくさんの人の前で、私の歌をみんなで歌えたら最高だなと思いました。


ーーそしてCDリリース日の9月16日21時から、YouTubeの生配信ライブがあるということで。


丸本:はい。これは女性限定で30名を招待するスタジオ・ライブで、男性は入れないんですけど、生放送でみなさんに見ていただくというものです。六本木ヒルズのスタジオなので、夜景もきれいだと思います。


ーーゲストに浜崎貴司さんと手島いさむ(ユニコーン)さん。豪華ですね。


丸本:まだ言えないですけど、たぶんカバーもやると思います。大先輩とのライブがすごく楽しみなんですが、女子会ライブなので、みなさんと一緒に女子トークもできればいいと思います、浜崎さんとはラジオでご一緒したり、手島さんとも何回かご一緒させていただいて、ワンマンライブにも遊びに来ていただいているので、楽しみです。


ーー今後の目標は?


丸本:武道館に立ちたいです。あとは、広島には今大きなフェスがないので、私が先陣を切って、残って行くフェスを作るのも目標です。あとは、歌い継がれていく曲を残すということ。まだまだ言葉も足らないし、もっと人生の幅を広げていけたらなと思います。頑張ります!


(取材・文=宮本英夫/撮影=竹内洋平)