株式会社イノベーションが20~50代のビジネスマン329人を対象に、職場環境に関するアンケートを実施したところ、「各世代における営業スタイル」に対するイメージに差があることが明らかになった。
なお、これらの「イメージ」は事実に基づいているとは限らず、他の世代からの思い込みが混じっていることも否定できない。とはいえ、時代の特徴を反映しているようにも見えるところが興味深いといえるだろう。
団塊世代は「行動重視」、バブル世代は「関係性重視」
1947~1949年生まれの「団塊世代」の営業に対するイメージは、アポイント数や訪問数を増やして営業成績をあげる「行動重視型」が最も多い。効率より気合と根性といった体力重視の行動主義や精神論を感じさせる。この親の世代が戦前・戦中の厳しい時代を生きた影響もあるだろうか。
1965~1969年生まれの「バブル世代」のイメージは、営業マン自身を信頼してもらうために相手との関係性を深める「関係性重視型」が最多。この時代には会社の経費を豊富に使えた会社も多く、取引先を接待漬けにして便宜を図ってもらう印象といえそうだ。
1970~82年生まれの「氷河期世代」の営業に対するイメージは、市場づくりに時間をかけ、相手を資料やデータで説得する「プレゼン重視型」が最多だ。不景気でおつきあいが見直され、取引内容の精査が厳しくなったことが背景にあるとすれば当然の変化だ。
1987~2004年生まれの「ゆとり世代」の営業は、無理なく効率よく取引を決める「効率性重視型」が21.6%で最多。インターネットの普及により、購買者自身が安くてよいものを検索し比較する時代には、人が足を運ぶ営業は効率が悪すぎると見えるのかもしれない。ワーク・ライフ・バランスの存在が年々高まる中就職し、仕事を効率良く終えて後はプライベートを充実させるという考え方を持っているという印象もあるだろう。未知数という意味か、「あてはまるものはない」という回答も21.0%あった。
「指示待ち世代」の言葉は1980年代からあったはず
時代の変化によって営業スタイルが変わるのは当然だが、「ゆとり世代」の営業に対して不満を抱く人は多いようだ。ゆとり世代の営業力を「高い」と評価した人は15.5%にとどまり、42.5%が「低い」と評価している。
低評価の理由は、先輩社員が営業の必須能力だと考えている「行動力」の低さにある。回答者の78.1%は、営業に必要な能力に「行動力」をあげたが、ゆとり世代を「行動力」が高いと評価した人は9.7%しかいなかった。
ゆとり世代社員の評価できない部分についても、「指示通りにしか動かない」(38.6%)、「常に指示を待っている」(31.0%)と受け身の姿勢が上位に。
しかし「指示待ち世代」という言葉が「新語・流行語大全」(自由国民社)に現れたのは、1981年のこと。団塊世代が30代前半、ポスト団塊が20代のころだ。
年長のベテラン社員から見て、経験の浅い若い社員が何をどうしたらよいか手をこまねいているように見えるのは当然。「ゆとり世代」の特徴と断定するのは、まだ早すぎるのではないだろうか。
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