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高校生を「ガチガチの就活」から解放せよ! 選挙権や酒タバコより「職業選択の自由」が先だ

2015年09月13日 19:30  キャリコネニュース

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大学はキャリア教育として、自己分析やビジネスマナーなどの表面的な支援はしますが、優良企業の探し方や職業観の醸成、学生が築きたいキャリアプランの支援はしてくれません。それでも大学生は就職活動を通して、自分で就職先を決めていきます。

就活を始めた時には、学生もよくわからずに動き始める人が多いのですが、様々な企業や社会人と会う中で、自分なりにポイントを掴んでいくものです。自分でいろいろな企業や社会人に会って、考えていくプロセスこそが「仕事選び」には重要なのです。

しかし、高卒で就職を希望する学生は、このプロセスを様々な制約により大きく妨げられています。企業の採用担当者として、この慣行は早急に見直されるべきだと主張したいと思います。(文:河合浩司)

「一人一社制」というルールで縛られ併願できず

高校生が面接を受け始めるのは、例年9月半ばから。ほとんどの学生が1社の面接を1回だけ受けて、内定が出たらあっさり就職先を決めているのが現状です。

この背景には「一人一社制」という、高校生を縛るガチガチのルールがあります。地域によって日付は異なりますが、高校生はある時期までは1社専願しかできず、複数企業への就活を並行できないのです。

このようなプロセスでは、求職側も採用側もお互いの希望をすり合わせてマッチングをする余地はなく、よほどのことがない限り出会いがしらで決めるしかありません。これが高卒者の離職率が高くなる要因のひとつにもなっています。

採用する側としてはお互いのことを少しでも知るために、できれば複数回会いたいと思っています。大学生の採用では当然ながらそれが許されていて、何度か会うことができます。

そこで高卒求人を管轄するハローワークの担当者に「高校生にも複数回会って、お互いのことをよく知る機会を持ちたいのですが、二次面接をしてはいけませんか?」と聞いてみたところ、こんな意味のない杓子定規な提案をされたのです。

「ならば、1日のうちに2回面接をしてください」

すでに二次面接を許容する地域も出ているが

別日程での面接は、どうしても避けるべきだというのです。実はこの背景にも「一人一社制」ルールが影響しています。面接回数を増やすと、他社への就活が制限される期間が延びてしまうので、1回の面接で合否を決めろと要求されるのです。

ただし面接回数については、ハローワークの職員ごとに柔軟さが少し違うようです。他の府県の知人の話を聞くと、日をあらためて二次面接を実施しているというところもあります。必要に応じて、現場から変わってきている兆しなのかもしれません。

他にも「配属部署の社員とも会わせたいので懇親会や食事会を設けたいのですが、それもダメですか?」と聞くと、「学業を優先するため拘束する時間は選考のみにしてください」と言われてしまいます。

ただし、彼らが言う「学業優先」は、実情とは大きく違っています。高卒で就職する人が大多数を占める高校の教員に話を聞くと、こんな状況を明かされました。

「高校3年生の夏休み以降にある授業は、毎年消化試合です。学生はすでに出席日数を確保しているし、学校に来て寝ているだけです。授業にどれだけ趣向を凝らしても、この時期だけはどうしようもありません」

教育面からも時間の使い方からも意義がある

大学へ進学しない高校生が授業に興味を失っているくらいなら、社会に出る前に自由に就活をできる機会を作ってあげるべきではないでしょうか。確かに世間知らずなところもあるでしょうから、先生方の支援も必要でしょう。

しかし、学校の先生と相談しながら、様々な企業や社会人と面接を通して会う機会を設けることで、高校生の仕事への理解も深まるはずです。教育の面からみても、時間の使い方として明らかに有意義です。

18歳の彼らに選挙権を与えて国政の是非を問う前に、就活に関する制限を取り払い、彼ら自身にとって重要な「職業選択の自由」を与えてあげることの方を、もっと優先すべきではないでしょうか。

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