マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエは、今季の低迷によって大きな経済的打撃を被ることになるかもしれないと認めた。現在のスポンサーが手を引く可能性があるという報道もなされている。
ホンダと共に迎えた2015年、マクラーレンは連発するトラブルとパフォーマンス不足に苦しんでいる。ふたりのチャンピオン経験者、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンを走らせながら、しばしば予選Q1落ちを喫し、12戦終了時点で入賞はふたりあわせてわずか4回、合計17点でコンストラクターズ選手権9位に沈んでいる。
マクラーレンは昨年ランキング5位、今年このままの位置で終われば、プライズマネーとしては1,500万ドル(約18億円)減となる。
ブーリエは、このままではプライズマネーが減るだけでなく、新しいスポンサーを見つけてくるのも難しいと認めた。
マクラーレンは2014年以来タイトルスポンサーがないままF1活動を行っている。
「昨年と同じポジションで終われなければ、収益が直接的に減少することになる。我々はF1で活動することによってビジネスを行っているのだから」とブーリエ。
「新しいスポンサーを見つけられなければ、具体的な額で表すことはできないが、それは当然打撃になる」
「我々が今後上昇し、すぐにでもポイントが取れる状態になると示せなければ、スポンサーを獲得するのはより難しくなる」
新しいスポンサー契約を結べないばかりでなく、今のスポンサーを失うことになりそうだという報道もなされている。Daily Telegraphは、ジョニー・ウォーカーとサンタンデールがマクラーレンとのスポンサー契約を打ち切る可能性が高いと報じた。
ウイスキーメーカーのジョニー・ウォーカーは10年にわたってマクラーレンをサポート、年間1,500万ポンド(約27億8,000万円)をチームにもたらしている。同社は2013年末に年間4,300万ポンド(約79億8,000万円)でタイトルスポンサーになるというオファーをしたが、マクラーレンのチェアマン、ロン・デニスはこの金額に満足せず、断ったといわれている。
イタリアGPの金曜、ジョニー・ウォーカーのスポークスマンは、マクラーレンと交渉中とのみ述べ、契約終了のうわさに関してはノーコメントを貫いたという。
スペインの銀行サンタンデールは現在年間500万ポンド(約9億3,000万円)を支払っているが、こちらもマクラーレンと袂を分かつ見込みであるとDaily Telegraphは伝えている。
今年すでにマクラーレンはスポンサーを失っており、30年以上にわたるスポンサー、ヒューゴ・ボスがメルセデスへと移った。
一方で、チームの収入減がドライバー選択にも影響する可能性があると考えられている。バトンは大幅なサラリーカットに応じて今年の契約にサインしたが、オプション契約の来年は元の水準に戻ることになっており、これが契約延長の障害になるかもしれない。マクラーレンの傘下にはケビン・マグヌッセンとストフェル・バンドーンという若く、サラリーが安く済むドライバーたちがいる。
しかし現時点ではマクラーレンは、バトンとの契約を維持する意向のようで、イタリアGPの週末にブーリエは、来年もアロンソとバトンのラインナップを変えないつもりだと発言した。