サンプルの舞台『離陸』が、10月8日から東京・早稲田小劇場どらま館で上演される。
『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015』では、グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』をもとにした舞台『ヘンゼルとグレーテル~もう森へなんかいかない~』を上演したことも記憶に新しいサンプル。『離陸』では妻に不信感を抱く兄が、自分たちと同じ家に住む弟に対して、自分の妻との2人きりの一泊旅行と、その様子を逐一報告するように依頼したことから変化する3人の三角関係が描かれる。
出演者にはサンプルの主宰であり、作・演出を手掛ける松井周をはじめ、役者として白羽の矢が立ったダンサー・振付家の伊藤キム、チェルフィッチュや矢内原美邦の公演にも出演している稲継美保が名を連ねている。なお松井は城山羊の会『仲直りするために果物を』への客演など役者としても活動しているが、サンプルの作品に出演するのは今回が初となる。
なお、同作は9月26日、27日に鳥取で開催される『鳥の演劇祭8』でも上演される。チケットは両公演とも発売中。
■松井周のコメント
「人間は 変わるか、変わらないか?」というざっくりした議論なら、「変わる」側につきたいです。
だって、俳優なんてそんなに好きでもない人を、生理的に無理だって人を「好き!」って思う職業だし、「生理的に」なんて言葉は、いっそ疑ってもいいと思うのです。
脳の中に回路を作ってしまえば「変わる」はず。
きっと、戦争で人が人を殺せるのは、徹底的にそういう回路を作らされてしまうからでしょう。
だから、人間は怖いのだと思います。
人間が実際に変わってしまうということを目の当たりにすることで「傷」は生まれ、それは事後的に「生理」を変化させるのだと思います。
変わりたいのに変われない、変わってないつもりが変わってしまった。
そんなことを思いながら暮らしている三人の関係の変化とはどのようなものでしょうか?
伊藤キムさんと稲継美保さんと僕の関係がどう変化していくかにもよるのでしょう。
サンプルも変化の途中なのです。