2015年F1第12戦イタリアGPは6日(現地時間)、伝統のモンツァ(アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ)で53周の決勝レースが行われ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが今季7勝目となる通算40回目のトップチェッカーを受けた。
前日の予選でキミ・ライコネンが2位、セバスチャン・ベッテル3位と、母国の大声援を受けるフェラーリが今季初めて2台揃ってトップ3入りを果たした今年のイタリアGP。あわよくば、フェラーリのワン・ツーと少々早すぎる期待も聞こるなかで午後2時の決勝を迎えたが、レースはそうしたティフォシの悲鳴とともに始まることとなった。
注目のスタート、ここで2番グリッドのライコネンがスタートの発進を完全にミス! アンチストールシステムが作動した最前列のフェラーリは瞬く間に後続のマシンに抜かれていき、一気に最後尾まで脱落してしまう。
すると、3番グリッドのセバスチャン・ベッテルも、スタートを決めたハミルトンに早くからリードを許し、序盤から1周0.5秒のペースで前との差が拡大。10周目には6秒、15周を過ぎた頃にはリヤタイヤのグリップも失い始め、20周目には12秒以上の差で単独2番手を余儀なくされた。
また、もう一台のメルセデスを駆る4番手スタートのニコ・ロズベルグも、目の前で立ち往生したライコネンを避ける間に6番手に後退。その後、すぐに5番手に復帰したが、4番手を走るメルセデスパワーのバルテリ・ボッタスの前に攻略は難航。ウイリアムズの背後には迫るものの、その影響でクリーンエアを阻まれブレーキの温度が上昇。一旦、前との間隔を置かざるえず、トップのハミルトンからは15周終了時点で約20秒差と、優勝の可能性を早くに失った。
一方、独走状態に持ち込んだ先頭のハミルトンは、その後も安定したペースで周回を重ね、26周目にこの日唯一のピットストップを敢行。1周前にピットインしたベッテルの18秒前でコースに復帰すると、中盤以降も一人旅を続けた。
しかし、その間後方では3番手争いに動きがあり、アンダーカットを仕掛けたロズベルグがウイリアムズ2台を一気に交わし表彰台圏内に進出。ウイリアムズはロズベルグの前を走っていたボッタスではなく、チームメイトの1秒前にいたフェリペ・マッサを先にピットへ呼び込んだが、ロズベルグの猛チャージの前に屈する形となった。
その後、中盤から終盤にかけては、独走のハミルトン以下、ベッテル、ロズベルグ、マッサ、ボッタス、そしてフォース・インディアのオーダーで進むが、40周を前に3番手のロズベルグが徐々に2番手のフェラーリに接近する。しかし、フェラーリドライバーとして初のホームレースを走るベッテルは、少しづつリードを吐き出しながらも2番手を死守。50周目時点でも約1.5秒の差を保ち、3周先のチェッカーを目指した。
すると、51周目に追い上げをかけていたロズベルグのエンジンが突然ブロー! 前日に新しいパワーユニットに不具合がみつかり、すでに5戦を走った中古のエンジンを使用していたロズベルグは、フィニッシュ目前で無情の終わりを迎えることとなった。
これで3番手にはウイリアムズのマッサが浮上したが、そのすぐ後ろにはチームメイトがつけており、最後の最後までバトルを繰り広げることに。しかし、なんとかポジションを守り切ったマッサが3位を確保。一度もトップを譲らなかったハミルトンと2位ベッテルに続き、2年連続連続で3位表彰台を手にした。4位ボッタスに続いたのはライコネン。彼は最後尾からの挽回で5位に入り、ダメージを最小限に抑えたものの、それだけにスタートの失敗が悔やまれる結果となった。
ホンダのパワーユニットを搭載するマクラーレンはジェンソン・バトンが1周遅れの14位。フェルナンド・アロンソは残り数周でパワーを失ってリタイア。完走扱いの18位でレースを終えている。
なお、独走で優勝したハミルトンだが、レース終盤に「理由は後で説明する」との言葉に続き不可解な無線を受ける場面があった。前戦スパの高速サーキットでは、フェラーリのタイヤが突然バーストしていたこともあり、スローパンクチャーなども疑われたが、結局はスタート時のタイヤの内圧が規定値より0.3psi低かったため、タイムペナルティを受ける恐れがあったことが分かっている。なお、この件についてはスチュワードが調査を始めている。