トップへ

SKE48大矢真那と須田亜香里が語るグループの変化「止まったと思ったSKEがすごい勢いで動き出した」

2015年09月05日 16:11  リアルサウンド

リアルサウンド

大矢真那(左)と須田亜香里(右)。(写真=竹内洋平)

 SKE48が、9月9日に初ドキュメンタリー映画『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』のDVD&Blu-ray版をリリースする。同作は、『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズにおいて、姉妹グループのなかでも最も早く結成したSKE48に密着し、1期オーディションから撮り続けられてきた膨大な記録映像と今回新たに収録されるメンバーインタビュー、舞台裏で撮られた秘蔵VTRなどを構成したもので、知られざるメンバーの一面や、大量卒業の裏で起きた出来事のほか、松井珠理奈と松井玲奈という対照的な両エースの姿を描くもの。特典映像には、メンバーが各地で行った舞台挨拶の模様や、本編には収録されなかったインタビュー映像などが収録されている。


 今回リアルサウンドでは、映画公開時に行った1期生の松井玲奈と大矢真那へのインタビューに続き、大矢と3期生の須田亜香里を直撃。映画公開以降の反響や、直近の『AKB48 41thシングル選抜総選挙』で大矢が躍進し、須田が後退したこと、グループに起こった変化などについて、じっくり話を訊いた。


・「次の公演を待っているのはチームSなんだけどな…(笑)」(大矢)


――SKE48の6年間を凝縮した『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』が公開されてはや6カ月経ちました。映画について周りの反応はどのようなものでしたか?


須田亜香里(以下、須田):何回も見ることで見方が変わったり、見る人によっていろんな味わい方が出来る映画だと感じていましたが、思っていたよりも多くの方に「何回も見たよ!」って言っていただけて嬉しかったです。


大矢真那(以下、大矢)この映画は私自身、冷静に見ることができた映画だったんですが、長く応援してくれているファンの方も冷静に見てくれたみたいで…。グループを長く見ているぶん、私と感覚が近かったのかなって思います。出てくる場面について、全部その時の感情が蘇ってくるから客観視できないんですよ。「物語として見れない」というか。私もその時々で出来事をブログに書いていたりするから、ファンの方も実体験のように冷静に受け止めてくれたんだと思います。


――お二人がそれぞれ印象に残っているシーンを教えてください。


大矢:『AKB48 22ndシングル選抜総選挙』で、SKE48のメンバーが次々に名前を呼ばれていくシーンですね。現場にいても、改めて映像で見ても鳥肌が立ちました。


――高柳明音さんの“直訴”も話題になった回でしたね。今年の『AKB48 41stシングル選抜総選挙』では、NMB48の藤江れいなさんがそのオマージュをしていました。


大矢:あれはビックリしました…。「これ何年か前にも同じ光景を見たぞ?」って。でも、次の公演を待っているのはチームSなんだけどな…(笑)。ちゅり(高柳の愛称)が訴えかけたときの状況と違って、今はどのチームもオリジナル公演を待っている状態だから、今回は「ちょっと待ったー!」って告白番組みたいに入っていきたくなりました。


須田:オリジナル公演やってみたいな…。私は、SKE48に入る前の場面ですが、チームSの「制服の芽」公演を迎えるまでのハードな道のりと、公演当日にステージ上で見せた、辛さを全く感じさせないパフォーマンスですね。「お客さんに苦労は関係ない」という格好良さや、私が追いかけてきた先輩たちの頑張っている姿にジーンときました。


・「髪を染めたかったわけではなくて、鏡を見ただけでわかる変化が欲しかった」(須田)


――そんな須田さんは、3期生・研究生としてSKE48に加入し、わずか3カ月でチームSの正規メンバーへと昇格しました。劇中では、この時に起こった1,2期生との軋轢も描かれています。


須田:やっぱり、あの頃はすごく空気がピリっとしていて。アンダー・研究生として公演に出るだけでも緊張感がありました。「沢山いるメンバーの中から、2期生で研究生として頑張っていた先輩ではなく、私が選ばれて公演に出る」という意味を考えたし、その意味を自分で見つけないとな、と思いました。いざ昇格するとなると、もう後戻りはできないというか、とにかく認めてもらって、チームSに必要とされるために頑張ろうという明確な目標ができたので、自分が成長するための、なくてはならない経験だったと思います。


――大矢さんは特典映像に関して、訂正したいことがあるそうですが……。


大矢:そうなんです。映像内で“アイドルになったきっかけ”について「新体操部にいて、体育祭で発表をしていたし、人前で踊るのが好きだった、というのもあるけど、実はAKB48に会いたかったから」って話したんですが、「AKB48に会いたかったから」っていう部分だけが映ってて。他メンバーの映像を見たら、みんなすごく真剣に話していたから「これ見た人、絶対怒るんじゃないか…」って心配で。実際はもっと色々決意してのことなのに、すごく軽く話している感じに見えちゃったんじゃないかって(笑)。だから訂正したいなって。


須田:(コンプリートBOXの)Disc4には今年の『AKB48 41stシングル選抜総選挙』も収録されているんですが、みんながスピーチで感謝の気持ちを述べて、裏でも「嬉しいですー!」ってコメントしているのに、私はひとりヒステリックに「もう無理―!」って泣いています…。そんな自分を改めて映像で見たとき「絶対この子のファンにはならないだろうな」って申し訳ない気持ちになりました。アイドルでいる以上、ファンの方にああいう姿を見せるのは絶対ダメだって考えてたのに! でも、見せてしまったからには「このままじゃ辞められないな」と思えたし、自分の足りない部分に沢山気付くことができました。今回は結果じゃなくて、いろんなことを感じるきっかけになったと改めて受け取っています。


――あのスピーチは衝撃で何度も見ました(笑)。総選挙後のラジオでは、「アイドル“須田亜香里”が剥がれ落ちた」という発言をしていましたが、その後は髪の色も明るくなったり、こうやって話してみると、かなり吹っ切れた印象を受けています。


須田:「アイドル・須田亜香里はこうじゃなきゃ」って、元の自分から沢山背伸びをしていたし、原型から違うものになろうとし過ぎていたのかもしれません。上手く自分を表現できないから、素を出したら嫌われるかもと思っていたけど、今回の総選挙で「そんな風にしていたらダメだ」と気付かせてもらって。ファンの方からは「今まで染めたかったのに我慢してたんだね」と言われるんですが、髪を染めたかったわけではなくて、鏡を見ただけで「自分は変わっていくんだ、変われるんだ」と思える変化が欲しかった。


――大矢さんも同じ総選挙のスピーチで「1年前から驚くほど成長した」と言っていました。握手会の例を具体的に挙げていましたが、改めてどういう部分が成長したと感じているのでしょう。


大矢:キャッチボールがリズムよく出来るようになったんです。もともと頭の回転も早くないし、言われたことに対してどう返していいのかもわからず、ファンの方にはもどかしい思いをさせてしまったと思います。いまは上手く会話が出来るようになりました。あと、テレビにおいても、何も躊躇せずに発言できるようになりました。躊躇しなさすぎて、マネージャーさんに「あれはやりすぎ!」って怒られるくらいに(笑)。


須田:真那さんのトークだと、公演でメンバーと絡んでいる姿が好きです。自然体だけど、良い感じに毒を吐きつつ、しっかり笑いを取っているのが、絶妙な心地良さなんですよね。


・「7年いたからこそ、『もっといける』と思う」(大矢)


――前回のインタビューでは、中西優香さんと佐藤実絵子さんの卒業にあたって、大矢さんが「SKE48は今の勢いのままでは駄目」と言っていたのが衝撃的でした。その後、グループ内での雰囲気はどのように変化しましたか?


大矢:舞台上で歌や振りを間違えたり、失敗してヘラヘラしていることに対して、「ファンの方からお金を頂いて公演をしている」意識が低いと感じていたし、そういうメンバーは何か衝撃的な体験をしないとわからないと思っていました。この映画がそのきっかけになったのかわからないけど、実際に春先から各メンバーの意識がどんどん変わってきていて。にしし(中西)と姉さん(佐藤)も居なくなって、玲奈も卒業したことも含め、止まっていたと思ったSKE48が、またすごい勢いで動き出したのを実感しています。


須田:成長せざるを得ないというか、自分たちがちゃんと作っていかなきゃと思えるようになったのかもしれませんね。先輩から学ぶことも多いがゆえに、頼りすぎてた部分もあったから。でも、映画を通して「『どうしたらSKE48が良くなるか』を考えて行動しなさい」という思いを受け止めてもらえたのかも。後輩メンバーの変化を感じます。


――大矢さんが言ってくれたように、松井玲奈さんが卒業を迎えました。須田さんは後輩として、大矢さんは同期としてそれぞれどう感じましたか。


大矢:うーん。今は冷静な気持ちだけど、後輩の動揺を見ていると、もっと図太くなって欲しいと思いますね。だって、須田ちゃんとかすごかったんですから! 


須田:無敵でしたよ(笑)。


大矢:「先輩なんかには負けないぞ!」ってガツガツくる。最初の頃はそんな須田ちゃんに刺激を貰ったし、私たち1期・2期がどうやって後輩と接したらいいかを教えてくれた。だから、誰かのアンダーで入っている人は、それがチャンスだともっと感じて欲しい。少し上手く行かなかっただけで諦めるんじゃなくて、目に見えるくらいガツガツしている子が欲しい。


須田:だって、昔のチームSは怖かったんですもん……。リハですら、全力でやらないと次はないと思いましたし、そこでひとつでもミスをしようものなら、先輩たちが目を光らせていて……(笑)。


大矢:それは同期に対しても同じだったけどね。それはアンナ先生(牧野アンナ・振付師)が教えてくれたことで、一人でも間違えたら音楽を止められて、気合が入っていないからとやり直しさせられていました。


――今後は体制も変わってくると思いますが、2人はグループをどのように支えていきたい?


大矢:7年いたからこそ、「もっといける」と思うし、48グループのなかで負けてると思いたくない。世間で一般認知されていないことも疑問に思うくらい頑張っているから、先輩は先輩で、みんなで力を合わせているから、もっと良さを知ってもらえるようになりたいですね。


須田:私は、SKE48に入ってから色々な経験をさせてもらっていて。端っこに立つ人の気持ちも、前に立ってステージのカラーを背負う人の気持ちもわかります。だからこそ、いろんなメンバーの気持ちに立って考えて、内面から後輩メンバーを支えたい。後輩と話すのは割と好きなので、そういう形でグループのためになればいいなと思います。


(取材・文=中村拓海/写真=竹内洋平)