2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙対策を強化する動きが活発化している。喫煙者にとってはかなり厳しい情勢になりそうだ。9月2日には、自民党の受動喫煙防止議員連盟(山東昭子会長)が総会を開き、基本方針をまとめた。
そこで、たばこ税を大幅アップすることで「例えば思い切って1箱1000円にする」よう求めていくことを決めたという。たばこは現在1箱410~450円が主流のため、約600円も値上がりすることになり、喫煙者にとっては極めて痛い出費となる。
「迷惑かけてる人間からはジャンジャン搾取するべき」
厚生労働省によると、2003年に27.7%だった喫煙率は、2012年には20.7%にまで減少。喫煙者自体が少数派になりつつあるためか、ネットでは「1箱1000円」という大増税に対して賛同する声が多数挙がった。
「煙草なんて吸わない人間にとっては緩やかな殺人兵器でしかないんだから、迷惑かけてる人間からはジャンジャンバリバリ搾取すべき」
「いいと思う。オリンピックやるならそのくらいしないとだめだよな」
自民議連の総会では、日本のたばこの価格がアメリカやイギリスの3分の1であることが指摘されていた。そのためネットでも「これこそグローバルスタンダード!!世界に追いつく!」といった声が出ていた。
ただ、やはり当の喫煙者からは反発の声が挙がる。
「よく頑張ったあとの煙草一服すごい最高だから一箱1000円やめてほすい」
「タバコ1000円とかやめてくれ…いいの?デモするよ?ねえ?デモ?」
そもそも受動喫煙防止が目的なのなら、街中にスモーキングスペースを設けたり、喫煙マナー向上の啓発運動をしたりといった施策の方が理に適っている、という指摘もあった。
海外では価格3倍でも税収減らず
また、たばこ価格が大幅アップすると禁煙する人が増え、最終的な税収が減って国が困る、という見方も少なくない。これは見極めが難しいところだが、厚生労働省が運営する健康情報サイト「e-ヘルスネット」の海外事例によると、南アフリカでは1993年から2009年にかけ、たばこ1箱が6.68ランドから20.82ランドと約3倍になった。
これにより、たばこ総販売量は3分の1になったものの、税収は10億ランドから90億ランドに大幅アップしたという。こうした傾向は、フランスなどの先進国でも見られる、としている。
もっとも、消費の足を引っ張るたばこ税のアップは、たばこ農家や小売店からの反発が予想され、現実的には難しいと見る向きもある。2010年の増税でも、たばこ価格が110円ほど値上がりした程度。そのため、最終的には微増レベルに落ち着くというのだ。
しかし東京五輪を向け、完全分煙が進んでいく可能性は高い。自民議連が9月2日にまとめた「受動喫煙防止法案」の骨子では、駅などの公共空間での完全分煙や、学校や病院などでの完全禁煙を徹底し、罰則を含めたさらなる措置を国に求めている。
また、超党派の「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」でも同様の骨子案をまとめている。今後は両議連が連携して動き、秋の臨時国会までに法案を提出する意向だという。
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