世界ラリー選手権(WRC)の来季カレンダーには、ラリー・チャイナが復活するものとみられているが、FIAが中国ラウンド開催に向けた視察を行うと明らかにしていた中国国内ラリーは、賛否が分かれる結果に終わったようだ。
来シーズンのWRCカレンダーでラリー・チャイナは、9月か10月に北京北部を中心に開催されるものとみられており、今週末パリで開催されるWRCコミッションでは中国ラウンド復活へ向けた協議が行われる予定だ。
FIAが視察を行った中国ラリー選手権のラリー・北京は、北京市内の懐柔区でターマックラリーとして8月中旬に開催。元WRCドライバーのクリス・アトキンソンが優勝した。
このイベントで2位を獲得したマーク・ヒギンズは、中国のプロモーターにはWRC開催に必要な能力が備わっていると述べているが、ステージを走行中にバイクとすれ違う場面が複数回あったと語っている。
「SSの構成は良かったし、ここ数年で主催者側のレベルも上がってきている」とヒギンズ。
「しかし、安全性に関しては少し問題があった。道路封鎖が完全ではなく、僕とアトキンソンはステージで何度かバイクとすれ違っている。WRCを開催するためには、この点を改善しなくてはならない」
「数週間後には北京近くで新たにグラベルラリーが開催される。このイベントも懐柔区での開催になると思うよ」
FIAでラリーディレクターを務めるヤルモ・マホネンは、ラリー・北京の現場を訪れており、WRCコミッションに報告書を提出するようだ。
また、WRCプロモーターのオリビエ・チエスラは、来季のカレンダーに中国ラウンドが復帰すると断言はできないと改めてコメントした。
「ある国がWRCを開催するために必要な能力を持っているか判断する場合、国内ラリーのレベルとプロモーターの運営能力は、ひとつのベンチマークとなる」
「北京のラリー終了後に、電話で簡単な報告を受けた。報告の内容も好ましいものだったよ。しかし、まだ公式の報告書は受け取ってはいない。だから、明確な結論を下すことはできないんだ」
ラリー・北京で3位を獲得したアリスター・マクレーのコドライバー、スチュアート・ラウドンは「中国でのWRCは、チャンピオンシップに様々なものをもたらすだろう」と語っている。
「中国では1戦か2戦程度の経験しかないが、どちらのイベントも素晴らしいステージ構成で、文字通りチャレンジングな内容だった」
「中国のプロモーターには本当にWRCを開催したいという熱意があり、その熱意から仕事も確実にこなすだろう。中国国内のモータスポーツ人気は高まりつつあるし、1回のイベントで13億もの人にラリーを見せられるなんて、素晴らしい経験になると思うよ」