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乃木坂46、13th選抜のコンセプトは“二人一組”? Wセンター含む大胆人事の意図を読み解く

2015年09月01日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 乃木坂46が、8月31日放送分の冠番組『乃木坂工事中』(テレビ東京)で、13thシングル『今、話したい誰かがいる』の選抜メンバーを発表。西野七瀬と白石麻衣がWセンターを務めることを明かしたほか、同日に東京・明治神宮野球場で行われた『真夏の全国ツアー2015』の最終公演で同曲を初披露した。選抜メンバーの詳細は以下の通り。


○13thシングル選抜メンバー(名前は正面からみて左より順番に)


・3列目
桜井玲香、若月佑美、生駒里奈、松村沙友理、伊藤万理華、井上小百合


・2列目
齋藤飛鳥、高山一実、橋本奈々未、生田絵梨花、秋元真夏、星野みなみ


・1列目
衛藤美彩、西野七瀬、白石麻衣、深川麻衣


 今回のシングル選抜メンバーは16名で、前作『太陽ノック』の18名から2名が減少。また、同作でセンターを務めていた生駒里奈が3列目に交代するという異例の人事もあった。ほかにも、桜井玲香と若月佑美が3列目に下がったことで“福神メンバー”から外れ、新たに齋藤飛鳥、星野みなみが2列目の両翼を担うことになるなど、世代交代の動きも進んでいるように見える。楽曲はAkira SunsetとAPAZZIのコライトで制作されており、クールな四つ打ち風のイントロから次第にフレッシュになっていき、疾走感と切なさが同居するサビへと転調する、グループの新機軸といえるものだ。


 Wセンターというグループ初の試みを持つ13thシングルからは、運営側のどのような意図を汲み取れるだろうか。『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であり、リアルサウンドで乃木坂46のコラムやインタビューを手掛けるライターの香月孝史氏は、西野と白石をWセンターにした理由をこう推察する。


「『今、話したい誰かがいる』は、秋に公開される映画『心が叫びたがってるんだ。』の主題歌に起用され、多くの人に届くことが予想されるほか、年末の紅白出場へ向け勢いを付けるためのものとなるでしょう。そのため、人気メンバーであり、コアファン以外にも訴求力のある西野と白石を起用したと考えられます。また、Wセンターという新機軸を打ち出すにあたって、これまでのセンターである生駒里奈や生田絵梨花、堀未央奈はそれぞれ対になりづらいため、西野と白石が、そのコンセプトを実現するにふさわしい2人だったのかもしれません」


 衛藤美彩と深川麻衣をフロントメンバーに抜擢した背景についてはどうか。


「今回はWセンターだけではなく、“二人一組”がポイントになっている布陣であることにも注目です。歌詞は“僕と君”の世界観をベースに、『シーソー』というフレーズがキーワードになっているほか、Wセンターがその象徴でもあり、2人の脇を固める衛藤と深川、2列目の両端を担う齋藤飛鳥と星野みなみという新曲の大胆な人事にそれが表れているといえるでしょう。衛藤と深川は、タレントとしての完成度は低くなかったけど、これまで前に出ていなかったメンバーで、年齢的に安定感のある2人。齋藤と星野は、ここ最近の活躍や露出を見ている限り、次世代を担う存在として運営側が強く押し出していることを感じます」


 最後に、センターから3列目に後退した生駒について、同氏はグループ全体を俯瞰したうえで以下のように語った。


「生駒はこれまで、6thシングル『ガールズルール』から11thシングル『命は美しい』まで、センターではない期間でも存在感を発揮し、グループの象徴として機能し続けました。AKB48との兼任が解けたところでセンターに再び戻り、今回は大人メンバーが前に出てくるにあたって後ろへと下がりましたが、乃木坂46のシンボルを背負い続けている彼女の存在が小さくなるわけでは決してなく、どこにいてもその姿が際立つことだけは確かです。見る人にとって、生駒の3列目への後退は、フロントメンバーのみならず隊列の後ろにも思わず目線を送ってしまうくらいグループが充実している証拠ともいえるでしょう。彼女が後列から乃木坂46を盛り立てることにより、グループ全体の毛色が変わるのかもしれません」


 グループとしても新たな試みが多くみられる今回の選抜メンバー。映画や歌番組などを通して、彼女たちの新たな姿がどのように広がっていくのか、引き続き見守りたい。(中村拓海)