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乃木坂46、全国ツアーファイナル公演レポート オーケストラ導入などトピック満載の内容に

2015年09月01日 09:11  リアルサウンド

リアルサウンド

乃木坂46『真夏の全国ツアー2015』ファイナル公演の様子。

 乃木坂46が、8月30日・31日に東京・明治神宮野球場にて、『真夏の全国ツアー2015』のファイナル公演を行った。ここでは31日公演の模様をレポートする。


 同公演は、西野七瀬と高山一実の影ナレーションからスタート。これまで全国各地で行われたツアーの冒頭では、それぞれ別メンバーが主役の映像をオンエアしてきたが、最終公演はキャプテン・桜井玲香がナレーションを務めるグループの映像が流された。映像内で桜井は「乃木坂らしさとは何かをテーマに自分たちの理想と戦ってきた。結成からずっといっぱいいっぱいだった。得体の知れない存在に悩み、心の底から自信が湧いたことはなかった」と、グループ結成から自分たちの色を出すべく戦ってきた歴史について明かし、続けて「でも、今回のツアーは全員で一つ一つクリアしている。だからこそ、初めてここで言いたいことがある。『勝ちたい』。勝って今日を入り口に、グループの扉を開きたい」と熱い決意表明をしたところから、メンバー紹介のコーナーへ。順番にメンバーの名前がビジョンに映し出されたあと、生駒里奈が1人、花道の中央へと登場。ほかメンバーもその地点へゆっくりと歩み寄り、生駒の「神宮ー! 集大成見せつけようぜー!」という絶叫とともに、1曲目「太陽ノック」が歌い上げられた。


 2曲目「走れ!Bicycle」、3曲目「おいでシャンプー」と、フレッシュな楽曲を続けたあと、MCでは西野七瀬が「ずっと会いたかったよー!」と観客へ呼びかけ、12thシングルのコーナーへ。12th選抜メンバーによる「羽根の記憶」と、白石麻衣・高山一実・橋本奈々未・深川麻衣のユニット曲「魚たちのLOVE SONG」、生田絵梨花と松村沙友理によるユニット“からあげ姉妹”の「無表情」などが披露された。「無表情」では、生田と松村が無表情でパフォーマンスし、最後に満面の笑みを浮かべたことで、会場が一体となって沸いていた。続けて乃木坂46は「ハウス!」「ロマンテイックいか焼き」とライブ定番曲を披露したあと、MCでは恒例のネタとして、秋元真夏が“ずっきゅん”を、高山が“アメイジング”をそれぞれファンに投げかけた。


 ここで舞台は一度暗転し、映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』のラストシーンから地続きになっているVTRがビジョンに映し出された。アンダーメンバー・二期生にスポットを当てた同VTRでは、各メンバーがそれぞれの考え方で決起する様子が映されており、それを契機にライブはアンダーメンバーのコーナーへ。中元日芽香がセンターを務める「君は僕と会わない方がよかったのかな」や、ライブ定番曲「扇風機」を披露し終えると、ここでビジョンが「特報」の文字を映し出し、10月にAiiA 2.5 Theater Tokyoで行われるアンダーライブのほかに、12月17日・18日の2日間、日本武道館にて公演を実施する旨を発表。これに対し、中元は「アンダーライブが始まった時からずっと目指していた場所なので嬉しいです」とコメントした。


 ライブ中盤は、彼女たちが主演を務めるドラマ『初森ベマーズ』(テレビ東京系)の世界観を踏襲した演出も目立った。まずは乃木坂46ファンにはおなじみ高橋大輔アナウンサーが登場し、会場を盛り上げると、ドラマと同じ衣装に身を包んだメンバーが野球対決を実施するという形で、「太陽ノック(ストンプVer.)」「月の大きさ」を披露。ほかにも「指望遠鏡」や「会いたかったかもしれない」をユニフォーム姿で歌い踊ると、コーナーの最後は同番組のエンディングテーマでもある、西野七瀬のソロ曲「もう少しの夢」が歌い上げられた。その後のMCでは、星野みなみが「全国ツアーを通して自分からMCをするようになった。あと、(齋藤)飛鳥も私も福神メンバーに選ばれたので、若い世代が力をつけて引っ張っていけるようになりたい」と成長を感じさせる発言をしてみせた。


 後半は堀未央奈がセンターを務める、アンダーメンバー楽曲「別れ際、もっと好きになる」を披露。続いて「命は美しい」「世界で一番 孤独なLover」「ここにいる理由」と、クールな四つ打ち曲を連続で歌い踊ったあとは、白石がセンターを務める夏曲「ガールズルール」と、西野がセンターを務める夏曲「夏のFree&Easy」、そして「気づいたら片想い」で会場を大きく盛り上げた。


 ライブの山場となったのは、本編終盤の23曲目から25曲目まで。まずはMCで桜井が「乃木坂46はこの夏、結成4周年を迎えました。最近少しだけ自分たちの成長を感じるようになり、“乃木坂らしいライブをしたい”という気持ちが芽生えたけど、それが何かはわからないまま、このツアーは始まった」と語り、西野は「何度目も自分を見失いそうな時、乃木坂46の詞に救われました。そのたびに乃木坂にいて良かったと思うようになったから、“乃木坂らしさ”は詞の中にあると思っています」と独自の解釈を述べ、橋本は「いつも乃木坂らしさをファンの皆さんから教えてもらってます。皆さんの言葉から、いつも気づけないことを気づかせてもらってます。そうやって私たちを照らしてくれる皆さんが、本当の“乃木坂らしさ”なんじゃないか」とファンにその“らしさ”があるとし、白石は「“乃木坂らしい”とか“らしくない”って思うことはあるけど、それが何かはやっぱりわからない。そこには37の個性があって、それぞれ輝いてるから。でも、“乃木坂らしい”というのは最高の褒め言葉だから、自信を持ってそれを世界に届けていきたい」と大きな目標を語った。


 その後、ステージ上にはフルオーケストラと生田が登場。生田のピアノ伴奏とオーケストラのサウンドをバックに、メンバーは「何度目の青空か?」と「君の名は希望」を透き通った声で歌い上げた。ここで生駒が「昨日の夜、何を伝えようかと考えていたけど何も浮かんでこなかった。私は、こんなキラキラした場所で、可愛い女の子に囲まれているのが苦手だった。けど4年間の活動を通して、ここにいるのが大好きになった。それはみなさんとメンバーのおかげで、それを誇りにしたいと思ったから、次の曲はみんなで歌いたい」と語り、25曲目「悲しみの忘れ方」へ。サビ部分は綺麗な花火も上がり、楽曲終了後には生田がプレッシャーからの解放感からか、大粒の涙を流し「裏でずっと不安だったし、ステージに上がったときは私一人だけじゃ何も出来ないと思ったけど、メンバーが一緒に歌ってくれたところから、一人じゃないってことを実感した。それにファンの皆さんが温かく包み込んでくれたから…」と語り、本編は終了した。


 アンコールでは、「転がった鐘を鳴らせ」「ダンケシェーン」とアッパーな楽曲を披露したかと思えば、生駒がセンターポジションで存在感を発揮する「制服のマネキン」で会場の空気を引き締める一幕も。その後、桜井は「最終日なので、みなさんにプレゼントがありまーす!」と話し、13thシングルが映画『心が叫びたがってる。』の主題歌に起用されたこと、楽曲タイトルが「今、話したい誰かがいる」であることを発表し、同曲を初披露。Akira SunsetとAPAZZIのコライトで制作された同曲は、西野と白石がWセンターを務めており、クールな四つ打ち風のイントロから次第にフレッシュになっていき、疾走感と切なさが同居するサビへと転調する、グループの新機軸といえるもの。その後、ライブ恒例の「乃木坂の詩」でアンコールを締めくくるかと思いきや、まさかのダブルアンコールで「ロマンスのスタート」を披露。観客が大いに盛り上がるなか、乃木坂46は無事に全国ツアーを終了させた。(中村拓海)