カリフォルニア州ソノマで最終戦を迎えたベライゾン・インディカー・シリーズ。30日に行われた決勝レースをスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が勝利。ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は6位に終わり556ポイントで両者が並んだが、勝利数の差でディクソンがシリーズチャンピオンを獲得した。
最終戦はダブルポイントというルールがあっても、優勝することしか逆転タイトルの可能性がなかったスコット・ディクソン。彼が予選9位というポジションからソノマでの優勝を飾り、奇跡の大逆転と呼べるタイトル獲得を果たした。
予選5位だったポイントリーダーのファン・パブロ・モントーヤは85周のレースの39周目にチームメイトのウィル・パワーと接触した。フロントウイングを傷めたためにピットインして23番手まで後退しながら、驚異的な粘りで6位まで挽回してみせた。しかし、二度目のタイトルを獲得するにはあとひとつのポジションが必要だった。モントーヤは前を行くライアン・ブリスコ(シュミット・ピーターソン)との差を縮めていったが、追いつくこともパスをトライすることも果たせなかった。
ディクソンとモントーヤは16戦を終え、556点の同点に並んだ。最終戦を同じ2勝で迎えていたふたりだったが、今日3勝目を挙げたディクソンが2015年のチャンピオンに輝いた。ディクソンは最終戦でチームメイトたちによる絶大なるアシストを得ていた。チャーリー・キンボールが予選7位から3位でゴールして今年2回目の表彰台に上り、トニー・カナーンも予選11位から4位でゴールしたのだ。彼らふたりの存在がディクソンのタイトル獲得に貢献し、モントーヤのタイトル獲得を阻んだ。
逆にモントーヤは、チームメイトたちの助けを得られなかった。タイトルの可能性を残していたパワーとの最終戦での接触。それによるタイトル喪失は、チーム・ペンスキーにとって苦々しい記憶となることだろう。
「今年も僕のチームメイトたちは素晴らしかった。彼らの助けがあってタイトル獲得はなったと思う。みんなで一緒に掴んだチャンピオンシップだと言える。すべてのクルーの働きぶりにも感謝したい。レースで勝ち、タイトルを獲得するのは、決してひとりでできるものではないのだ」とディクソンは語った。
モントーヤは、「マシンの仕上がりは良く、序盤は順調に戦えていた。ウィル(パワー)がコーナーで少し外に膨らみ、戻って来た。(ジョセフ)ニューガーデンと戦っていた僕はインにステアリングを切ったがウィルにぶつかってしまった。ウイングを壊した、あの時点で僕らの戦いは終っていたのかもしれない。ベストを尽くして挽回はしたが、あと少し届かなかった。悔しいよ。最終戦がダブルポイントだと、シーズンを通してどう頑張ったがは関係なくなる。ディクソのダメなシーズンを送っていて、1レースだけが良かった。おかげでこちらは損をすることとなった」と、最後はタイトルを獲った相手を悪く言い、ポイントシステムというルールに対する不満までぶちまけた。
ポイント3位はパワーのものとなり、ポイント2位で最終戦を迎えていたグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)は、予選6位からレースの大半をトップグループで戦っていたが、もうゴールが目前の77周目にセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)に追突されてスピンし6番手から18番手まで後退。ランキングは自己ベストとはなったが、2位から4位に下がってシーズンを終えた。
佐藤琢磨(AJフォイト)は、予選18位から8位でゴールした。今年4回目のトップ10フィニッシュだ。「マシンは良くなっていましたが、勝てるところまではいっていませんでした。作戦は良かったものと、良くなかったものがありましたが、ハードファイトを闘い抜いて8位になれたのは良かったと思います。チームがシーズンを通して頑張ってくれました。2カー体制への拡大をした今シーズンはチームにとっても大変な1年でしたが、私たちは全体が成長、進歩を遂げることができたと思います」と琢磨は語った。年間ランキングは14位となった。
ルーキー・オブ・ザ・イヤーはフルシーズン出場したギャビー・チャベス(BHA)のものとなった。彼はトップ10フィニッシュを2回記録、最終ランキングは15位だった。