「周りは内定をもらっているのに、自分にはまだひとつも内定がない」――。そんな不安を抱える学生もいることでしょう。そんなときは自分一人で悩み続けるよりも、友達に相談した方がいいのは間違いありません。
しかし、すでに内定をもらっている友達がくれる助言を取り入れるべきかどうかは、よくよく考える必要があります。内定が出た本当の理由は、本人にも分からないこと。中には思い込みによる有害なアドバイスもあるかもしれません。(文:河合浩司)
本人が経験したことは、自分で試してもいいけれど
取り入れていいアドバイスは、本人が経験したこと。例えば、こういったものです。
「社会人には事前にできるだけ会っておいた方がいいよね」
「合説では人が少ないブースから行ってみるといいよ」
「○○社の人事がとても良い人だった! 面接で勉強になった」
「グループディスカッションで知り合った人とは、できるだけ情報交換をした方がいい」
「気分転換は大事。詰め込み過ぎると続かないよ」
これらは全て本人が実際に試した上で、何らかの根拠があったからこそ良いと感じているはずです。だからこそ、友達にアドバイスとして伝えているのです。内容を聞いて「いいかもしれないな」と思えたら、自分も試してみるといいでしょう。
逆に、取り入れてはいけないアドバイスもあります。それは「これをすると人事から評価が高くなる」とか「反応が良い」といったもの。なぜなら、自分はそう感じたのかもしれませんが、相手がどう感じたかは確認することができないからです。それも、勘違いであることがとても多いのです。
「説明会で鋭い質問をすると印象に残る」
「学生時代に頑張ったことを話す時は、明確に結果が出たエピソードを話すと通過する」
「自己PRは、コミュニケーション能力の高さが伝わる内容にした方がウケが良い」
採用担当者はすごいと思わなくても笑顔で聞いている
内定者らしき人が書いているブログやその類いの書籍などで、よく見かける内容です。実際にこういうアドバイスをしている内定者らしき人が、カフェで滔々と話している場面を見かけたこともあります。
決して騙そうと思って間違った情報を喧伝しているわけではないと思いたいのですが、もしかすると優越感に酔って冷静に考えられていない場合もあり、結果的に周りに良い影響を与えてはいません。
私たち採用担当者は、就活生がこちらに伝わらない売り込みをしてくるのを「笑顔で聞く」ことに慣れています。全く思っていなくても「それはすごいですね!」というリアクションもできるのです。内心では、
「そこまで自分をすごく見せようとしなくてもいいのになぁ。ただ、勢いはあるキャラだから、A課長と肌が合いそうだし、一度会ってもらおうかな」
などと考えているものです。
事実なのか、意見なのかを見極めて自分で判断
就活生本人が意識していることとは、全く違ったものが好印象となり、通過することはよくあることです。それは内定者とはいえ、まだ学生なのですから分からないのは当たり前です。
友達が純粋に相手のことを思ってアドバイスを考えているからといって、内容が的を射ているとは限りません。事実なのか本人の意見なのかという判断は、必ず自分で判断してください。
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