スーパーGT第5戦インターナショナル鈴鹿1000kmは30日、SC(セーフティーカー)が2度入る波乱のレースとなり、1000km(173周)には届かない163周で決勝レースが行われ、9番グリッドスタートのPETRONAS TOM’S RC Fが鈴鹿1000kmを2連覇。2位はZENT CERUMO RC Fが入りレクサス勢のワン・ツーとなった。
小雨が落ちる中、ウエットタイヤでスタートしたオープニングラップはPPスタートのMOTUL AUTECH GT-Rがスタート決めてそのまま1コーナーへ進入、その後方では3番手グリッドのEpson NSX CONCEPT-GTがダンロップタイヤのアドバンテージを活かして2番手に浮上。Epsonのベルトラン・バゲットはそのままオープニングラップでトップのMOTULのロニー・クインタレッリに猛チャージを続け、デグナーでトップを奪うことに成功した。その後、ヘアピン手前でクインタレッリがバゲットに並びかけるも順位は変わらず、バゲットは別次元の速さでライバルを引き離し、オープニングラップで2秒の差を広げた。
トップのバゲットはその後もプッシュし続けると、4周目にはMOTULとの差を4秒まで広げる。しかし、6周目の2コーナーでオーバーランして、MOTULとの差は一気に縮まってしまう。後方では7番手スタートのドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTの小暮卓史が秒単位で速いペースで順位を上げ、7周目にカルソニック IMPUL GT-R、8周目のバックストレートではZENTをかわして3番手に浮上。続く逆バンクではMOTULをかわして一気に2番手まで上り詰め、さらにその後のヘアピンでトップのエプソンをアウト側から抜き去り、雨の中で驚異的な追い上げを見せた。
その後、徐々に雨が強まり始めると2番手Epsonのペースが落ち始める。一方、トップのドラゴはファステストをマークしながら快調に飛ばし、2番手に一時3秒速いラップタイムで周回。その間、Epsonはペースが挙げられず10番手にまでポジションダウンしてしまった。
この時点ではNSXとブリヂストンのウエットタイヤがコンディションに合っていたようで、ドラゴ同様にRAYBRIG NSX CONCEPT-GTの山本尚貴もペースアップ。13周目の130RでPETRONASをかわして3番手に浮上し、そのままの勢いで19周目にクインタレッリをホームストレートでかわす2番手に。NSXのワンツー体制となった。
開始から1時間が経過する頃には、雨脚も弱くなり始め、多くのチームが1回目のルーティーンピットへ。PETRONASが29周目にピットに入り51秒の作業時間でコースに復帰すると、トップのドラゴが30周でピットに入り58秒の停止時間。ピット後の33周目のシケインではPETRONASがドラゴをかわしてポジションを挙げることに成功した。
ここまで、大きなアクシデントもなくレースが展開されていたが、31周目のデグナー2つ目でKeePer TOM'S RC Fの平川亮がクラッシュバリアに突っ込む形でコースオフ。マシンはその後コースには復帰しピットに戻ってきたが、KeePerは大きくポジションを下げた。さらに35周目には7番手を走行していたMOTULの松田次生が2コーナーでコースオフ。グラベルに捕まりコースに復帰する頃には13番手にまでポジションを落としてしまった。
スタートから1時間13分が経過するころには、再び雨脚も強くなり、38周目の130RでKEIHIN NSX CONCEPT-GT 武藤英紀がGT300のRUNUP Group&DOES GT-Rとクラッシュ。RUNUPがスピンしたところにKEIHINが突っ込んだようだが、映像ではその瞬間は分からなかった。いずれにしても武藤のマシンはフロントを激しく破損し、そのままリタイアとなってしまった。
開始から2時間が経過すると、雨も上がり路面コンディションも回復し、D’station ADVAN GT-Rとエプソンがスリックタイヤでコースインしていく。ここから2回目のピット作業に慌ただしくなり、3番手のドラゴは56周目にピットインし、61周目には2番手のRAYBRIGと3番手のPETRONASが同時ピットイン。すると、不運にもRAYBRIGの前のピットにGT300のExcellence Porscheも同時にピットインし、RAYBRIGは一端マシンを下げてからピットロードのファストレーンへ。ここで約5秒をロスして、RAYBRIGはPETRONASにトップを奪われてしまった。
その直後、63周目にスプーン手前でGT300のSKT EXE SLSがクラッシュ。SCが入り、ピットはクローズに。GT500はカルソニック、WedsSport ADVAN RC F、KeePer TOM'S RC Fの3台がレインタイヤのままで2回目のピットを迎えられずに周回を続けた。
69周目にレースが再開すると、トップ争いは周回遅れのGT500クラスのマシンとトップの3台が入り乱れる混沌とした展開に。それでも上位の順位は変わらない。75周目には1コーナーでGT300クマシンが立て続けにオーバーラン。コース上にオイルが撒かれたことが判明して、2度目のSCが導入された。SCは79周目には解除し、この時点でトップのPETRONASと同一周回はRAYBRIG、ドラゴ、ZENT、カルソニック、S Roadの6台となっていた。
その後、上位陣の順位は大きくは変わらないまま周回が進んでいたが95周目、ドラゴは2回目のSC解除後の再スタートで追い越し禁止区間でオーバーテイクをしたことが判明してドライビングスルーペナルティ。3番手から8番手にまでポジションを落としてしまった。
トップの2台が98周目に3回目のピットに動き出すと、先にピットに入ったPETRONASにアクシデント発生。右リヤタイヤのタイヤ装着に手間取り、スペアのナットを使用して1分10秒の時間を費やしてしまう。一方、2番手のRAYBRIGは59秒のピット作業で10秒近く差を縮めたものの、それまでのギャップが10秒以上あったため、PETRONASはトップを守った。
109周目にはZENTの立川がS Road 柳田をかわして4番手に浮上。ペースのよい立川は110周目の最終コーナーで3番手のカルソニック 安田の背後に迫るがポジションは変わらない。4番手のZENT立川が前の2台よりも1秒程速いペースで周回していた。
すると111周目の最終コーナーでZENT立川がカルソニック 安田に並ぶと、1コーナーで立川が前に出て3番手に。続くデグナーで2番手RAYBRIGの伊沢拓也に追いつき、2台はテール・トゥ・ノーズのままバトルが続く。この頃からRAYBRIGのペースが上がらず、1分55秒後半から1分57秒台へと徐々にラップタイムが落ちていってしまう。そして113周目にZENT立川が130RでRAYBRIG伊沢のインに入り、2番手に浮上。レクサス勢のワン・ツー体制となった。
3番手に後退したRAYBRIGには、今度はカルソニック 安田が襲い掛かる。さらにS Road 柳田も徐々に差を詰めてきていた。114周目、メインストレートでS Roadがカルソニックに並ぶと1コーナーではS Roadが前へ。ポジションを3番手に上げることに成功した。
130周前後になると上位陣は最後のピットストップを行い、最終スティントではカルソニックのジョアオ-パオロ・デ・オリベイラがペースアップ。137周目のヘアピンでRAYBRIGをかわすと、翌周にはS Roadもかわして3番手に順位を上げた。しかし、その後は燃費を考えてか順位キー宇に入ったか、トップから4~5秒遅いペースで周回し、トップとの差は徐々に広がっていくこととなる。
レース終了となる18時25分の夕暮れが近づき、マシンのヘッドライトにも明かりがともり始めると雨が降り出し、西コースでは路面が濡れ始める。しかし、トップのPETRONASと2番手ZENTのギャップは1分以上のあり、PETRONASは盤石の体制でチェッカーへ向けてレースは進行していった。
レースも残り5分を切ると、4番手のWedsSportの関口雄飛がカルソニックのオリベイラの背後に急速に接近。オリベイラを追う関口のペースは1秒近く速く、ファイナルラップ間際にはカルソニックより2秒速いペースのラップを刻むも、オーバーテイクには至らず、WedsSportは4位。それでもRC Fでのチームのベストリザルトを獲得した。
結局、トップチェッカーを飾ったのは9番グリッドスタートのPETRONAS。ウエットとドライが交差するダンプコンディションを制止、鈴鹿1000kmで2連覇を達成。2位にはZENT が続きレクサス勢のワン・ツーとなった。3位には最後までWedsSportを抑え切ったカルソニックが続き、シリーズランキングの首位を守った。