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スーパーGT:GT300クラスは終盤の接近戦を制したGAINER TANAX GT-Rが優勝

2015年08月30日 22:10  AUTOSPORT web

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レース終盤のStudie BMW Z4との接戦を制し、今季2勝目を挙げたGAINER TANAX GT-R
スーパーGT第5戦インターナショナル鈴鹿1000kmは30日、173周の決勝レースがスタートし、GT300クラスは予選2番手からスタートしたGAINER TANAX GT-Rが、終盤のStudie BMW Z4との接近戦を制し優勝。ポイントランキングでもリードを広げることに成功した。

 朝から曇天が広がり、時折り小雨が降るコンディションとなった決勝日。今回も三重県警協力のもと、白バイ6台、パトカー3台が先導する形でパレードラップが行われた後、1周のフォーメーションラップでレースはスタートした。なお、25番手スタートのRn-SPORT GAINER SLSと27番手スタートのクリスタルクロコ ランボルギーニGT3はピットからのスタートを選択している。

 スタート直後の1コーナーは大きな混乱はなく、ポールシッターのシンティアム・アップル・ロータスをドライブする加藤寛規がホールショットを奪い、2番手にGAINER TANAX GT-Rのアンドレ・クート、3番手にStudie BMW Z4のヨルグ・ミューラーと続いていく。また、オープニングラップでは5番手からスタートしたマネパ ランボルギーニGT3を操る織戸学が前を行くSUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人を捉え4番手に浮上している。

 その後は雨が降り出し、浅溝タイヤを選択していた2番手クートがペースを上げられない隙をつき、トップのロータスを駆る加藤は1周2秒近く速いラップを連発。3周目終わりには4.8秒以上のリードを構築する。一方、クートは4周目にマネパ ランボルギーニの織戸に捉えられ3番手に後退すると、その後は順位を守ることができず、12周目終わりには17番手まで後退してしまった。

 12周目終了時点の順位はトップにロータス、10秒近く後方にマネパ ランボルギーニが続き、3番手にStudie Z4、以下、佐々木孝太がステアリングを握るTOYOTA プリウス apr GT、SUBARU BRZ、Audi R8 LMS ultraのリチャード・ライアンと続いている。また、2番手スタートから26番手まで順位を落としたGAINERのクートは14周目終わりにピットイン。ドライバーを千代勝正に替え、深溝のレインタイヤを装着してコースへ復帰していった。

 トップがリードを14秒近くまで広げた16周目、2番手を走る織戸の後方には、StudieZ4を交わしてペースを上げてきたプリウスの佐々木孝太が接近。2周ほどバトルを繰り広げた後、18周目の1~2コーナーの飛び込みでプリウスがランボルギーニのイン側に飛び込みオーバーテイク。2番手へ順位を上げている。

 21周目には3番手に後退したランボルギーニ織戸の後方に井口卓人が接近し、テール・トゥ・ノーズのバトルが展開。しかし、井口はストレートスピードで勝るランボルギーニを攻略することができないまま、29周目終わりにルーティンのピットワークへ向かっていった。

 35周目終わりにはトップを快走していたロータスの加藤がピットイン。濱口弘にドライバーを替えコースに復帰したが、アウトラップで先にピットを済ませていた2番手プリウスの中山雄一にオーバーテイクを許してしまい、2番手に順位を落とすと、38周目には3番手まで順位を上げてきたSUBARU BRZにも1~2コーナーの飛び込みでオーバーテイクされてしまった。

 レース40周を終えた時点での順位は、トップにプリウス、3.5秒後方の2番手にSUBARU BRZが続き、3番手にロータス、以下、マネパ ランボルギーニ、ARTA CR-Z GT、Studie Z4と続いている。また、40周を過ぎたあたりから、サーキットには陽が差し始め、路面が急速に乾き始めていった。

 3秒前後と接近していたプリウスとSUBARU BRZは、50周を過ぎた頃から1秒以内まで接近。そして、テール・トゥ・ノーズで迎えた52周目、バックストレートでプリウスのスリップに入ったSUBARU BRZが、130Rでイン側に飛び込みオーバーテイク。トップに浮上した。2番手に後退したプリウスはその直後、ダンロップコーナーで3番手ロータスの濱口にもオーバーテイクされてしまい、3番手まで順位を落としている。

 そして57周目、SKT EXE SLSをドライブするナニン・インドラ-パユーングが250Rでバランスを崩しクラッシュ。マシンがコースに飛び出す形で停止し、パーツ片がコースに散乱したため、この日最初のセーフティカーが導入される。すると、ピットレーンが閉鎖されているタイミングで、2番手のロータスがピットイン。ドライバーを再び加藤に替え、再びコースへ復帰した。

 グランドスタンド前で両クラスの隊列が整えられ、ピットレーンオープンとなった62周目に、首位のSUBARU BRZ、2番手プリウスが同時にピットイン。どちらもタイヤをスリックへ変更し、ドライバー交代も行ったが、SUBARU BRZには破損していた左リアのディフューザーを修復するよう指示があり、タイムをロス。この隙にプリウスがトップの座を奪う。しかし、タイヤが温まっていなかったせいか、ステアリングを託された嵯峨宏紀がピットアウト直後の1~2コーナーでスピン。なんとか体勢を立て直し、レースは続行している。

 クラッシュしたマシンの回収とコースの清掃が終わり、セーフティカーランは63周目に終了。この時点では、トップにロータス、2番手にARTA CR-Z、3番手にはプリウスが続き、以下、SUBARU BRZ、マネパ ランボルギーニ、Studie Z4といったオーダーに。しかし、65周目にはトップを走るロータスが、ピット閉鎖中にピット作業を行ったため90秒のストップペナルティが与えられたほか、6番手Studie Z4にはピット出口のホワイトラインカットがあったとしてドライブスルーペナルティが科されている。

 そして68周目、1コーナーへ飛び込むマシンが相次いでコースオフ。さらにはコースオフしたPACIFIC マクラーレン wtih μ'sが1コーナー先のグラベルでストップしてしまう。最終コーナーから1コーナーにかけて、オイルのようなものが出ているようで、この処理のために2度目のセーフティカーが導入された。

 このオイルのような液体は、JMS LMcorsa Z4から漏れていたようで、マシンにはオレンジディスクが掲示された。その後、72周目にはオイルの処理が終わりレースは再開されている。

 すると74周目、再開後トップに立っていたARTA CR-Zの小林崇志が130R手前で2番手プリウスの嵯峨にオーバーテイクを許すと、続けてシケインでSUBARU BRZの山内、1コーナーの飛び込みではマネパ ランボルギーニの平峰一貴に相次いで先を行かれてしまい、4番手まで順位を落としてしまった。また、トップにたったプリウスには、前述したSC中のスピンによりドライブスルーペナルティが出されたため、13番手まで交代を余儀なくされている。

 90周を過ぎた頃から、各車再びルーティンのピットワーク時間を迎える。94周目には、130RでSUBARU BRZを交わしトップを走っていたマネパ ランボルギーニとグッドスマイル初音ミク SLSが同時にピットイン。マネパ ランボルギーニは2番手で、初音ミクSLSは3番手でコースへ復帰していく。その2周後には、SUBARU BRZがピットに入り、チームは52.6秒で作業を完了。ランボルギーニの前でコースへ戻ることに成功した。なお、トップには序盤に大きく順位を落とし、ライバルと異なるピット戦略をとっていたGAINER TANAX GT-Rが浮上している。

 その後はGAINER GT-RとSUBARU BRZ、3番手に浮上してきたStudie Z4による激しい首位争いが繰り広げられる。105周目にはトップを走るGAINER GT-Rのクートと2番手SUBARU BRZの山内が1秒以内に接近すると、112周目には3番手Studie Z4を操る荒も追いつき三つ巴の戦いに。

 ここで仕掛けたのは3番手の荒。112周目終わりの最終コーナーで山内に並びかけると、1コーナーでマシンをアウト側にふり、オーバーテイクに成功。その後はトップのクートを追い抜こうとするも、ストレートスピードで勝るGT-Rの攻略に苦戦してしまう。しかし119周目、再び最終コーナーでイン側からクートに並びかけると、ホームストレートをサイド・バイ・サイドの状態で駆け抜けていく。荒はそのままイン側ラインをキープして1コーナーへ飛び込み、GT-Rを追い抜きトップへ浮上した。2番手に後退したクートはこの周の終わりでピットイン。チームは52.5秒で作業を行い、千代が10番手でコースへ復帰した。

 122周目にはトップを走るStudie Z4の荒、2番手のSUBARU BRZの山内が同時にピットイン。ここで燃費で勝るSUBARU BRZが42.6秒の驚異的なピット時間で作業を行い、Studie Z4を交わすことに成功したが、コースへ戻るとすでにピットを終えていたGAINER GT-Rが後方に迫ってくる。アウトラップでタイヤが冷えているSUBARU BRZの井口は為す術なく、デグナーでGAINER GT-Rに交わされてしまう。また、その直後には250Rの立ち上がりからスプーンの進入で、Stuide Z4のミューラーにも先行を許してしまった。

 全車が最後のピットワークを終えた131周目時点でトップはGAINER GT-Rの千代、2番手にStudie Z4のミューラーが続き、3番手にSUBARU BRZの井口、4番手にマネパ ランボルギーニの織戸が続いている。GT-RとZ4は1秒弱のギャップで接近しているものの、Z4とBRZは7秒差、BRZとランボルギーニとの間には40秒近いギャップが生まれている。

 レース終盤はトップGT-Rの千代とZ4のミューラーによる激しい首位争いが展開される。トップの千代は一時4秒近くミューラーを突き放したものの、西コースに再び雨が降りだした140周過ぎから1.5秒近くまで接近。その2周後にはシケインで千代が周回遅れのマシンに詰まったこともあり、一気に0.150秒まで差が詰まりテール・トゥ・ノーズのバトルに発展する。

 しかし、ここでは千代がGT-Rのストレートスピードを活かして、ミューラーの猛攻を防ぎきり、149周目にはギャップを0.7秒まで押し戻すと、150周目には1.073秒へ。規定時間により最終ラップとなった151周目も守りきった千代は、最終的に1.098秒でミューラーを抑えトップチェッカー。荒れた展開となった鈴鹿1000kmで今季2勝目をチームにもたらした。

 2位はドライブスルーペナルティを受けながらも速さをStudie BMW Z4が続き、3位には今季ベストリザルトを獲得したSUBARU BRZ R&D SPORTが入っている。