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インディカー最終戦ソノマ予選:ポールはパワーが獲得。王者を争うモントーヤとレイホールのふたりが3列目に並ぶ

2015年08月30日 12:20  AUTOSPORT web

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インディカー・シリーズ最終戦ソノマ予選/スピードスターのウィル・パワーが今季6度目のポール・ポジション獲得
カリフォルニア州ソノマで開催されているインディカー・シリーズ最終戦。30日に行われた予選は、ランキング4位につけるウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季6回目となるポールポジションを獲得。ランキング1位のファン-パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は5番手、ランキング2位のグラハム・レイホールは6番手とチャンピオンを争うふたりが同じ3列目から決勝に挑む。

 早くもインディカー・シリーズは最終戦を迎えた。その予選はとてもホットで、エキサイティングな戦いとなった。

 予選直前のプラクティスではライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が最速だったが、上位7人がコンマ1秒以内にひしめく激戦となっていた。

 予選にはソフトコンパウンドのレッドタイヤという要素も絡むため、そこまでの接戦にはならなかったが、作戦面から見ても実に見応えのある戦いが展開された。

 ロードコースでの予選は3段階で、ファイナルを戦ったのはパワー、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、サイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)、ジョセフ・ニューガーデン(CFHレーシング)、レイホール、モントーヤの6人だった。チャンピオン争いの主役、モントーヤとレイホールはキッチリとファイナルに進んだが、意外にもランキング3位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は第2セグメントでの敗退を喫する予選9位となった。ガナッシ勢は今回ひとりもファイナルに進めなかった。

 ファイナル進出組はペンスキーから3人、アンドレッティ、レイホール、CFHレーシングからそれぞれひとりずつだった。ホンダはデトロイトでは佐藤琢磨が三段階の予選でファイナルに進んだが、その後はトロント、ミド・オハイオとひとりもファイナルで戦えたドライバーはいなかった。それがソノマでの最終戦ではふたりがファイナルへと進出した。アンドレッティ勢が進歩し、ランキング2位のレイホールもようやく予選で実力を発揮し、2011年のツインリンクもてぎ以来となる予選ファイナルを戦った。

 予選では2014年にパワーが記録した1分17秒2393というレコードを10人が上回った。スピードアップも予選をエキサイティングにしていたが、6人によるファイナルステージは実に見応えあるものになっていた。

 まず、過去4回ポールを獲得と、ソノマを大の得意としているパワーが計測開始と同時にユーズド・レッドタイヤを装着してコースインした。レッド装着でピットに待機し、最後の最後に一発勝負のアタックを行うのが普段の彼の戦い方だが、今回は違った作戦を採用していた。

 パワーは最初のアタックで1分16秒6783をマーク。トップに立った。ところが、このラップタイムをブラックタイヤ装着のニューガーデンが上回った。1分16秒6777を彼は叩き出したのだ。するとパワーはもう1セットのユーズド・レッドを投入し、2回目のアタックへと出ていった。そして、1分16秒5842を出し、ニューガーデンからトップを奪い返した。

 ところが今度はプラクティスで最速だったハンター-レイが1分16秒5254を出してトップに立つ。これで決まりかとも思えたが、今度はユーズド・レッドに切り替えたニューガーデンが1分16秒3964で再逆転。

 ニューガーデンのキャリア初ポール・ポジション……という空気が流れ出した頃、パワーはこのセッションで3回目のアタックに飛び出す。最後のチャンスに賭けた戦い。それはブラックタイヤ装着でのアタックだった。

 コースに乗ったラバーでグリップが最も向上しているコンディションを利用し、最高の集中力を発揮してパワーは1分16秒2597をマーク! ニューガーデンを2番手へと押し下げ、2年連続、この6年間で5回目となるソノマでのPP獲得を果たした。

「週末でいちばん好きなのが予選。マシンからフルに力を引き出して走るのは最高に楽しい。今日も思う存分にアタックを堪能できた」とパワーは最速ドライバーとなったことを喜んでいた。「もちろん明日のレースはまったく別の戦いになる。目指すのは優勝、そしてチャンピオンシップだ」とパワーは続けた。

 ニューガーデンは予選2位。ハンター-レイはフロントローも逃す予選3位となった。

 パワーのポール獲得劇は素晴らしかった。予選の第1、第2セグメントでそれぞれ一度レッドタイヤを使ったが、その両方を投入してまでポールを狙っていった。今回持ち込まれているファイアストンのレッドはよりソフトなコンパウンドとされて耐久性が低くなっており、レースでの使用には適さないという判断を下したのだろう。

 オーバーテイクの難しいコースではポールスタートのアドバンテージが大きいため、彼らはポールに拘った。ところが、大胆に2セットを注ぎ込んだ作戦でも予選トップが取れず。そこで彼らは残された少ない時間にブラックタイヤを投入し、最後のチャンスに賭けた。3回目のアタックだ。3段階の予選が始まって以来、3回ものアタックが行われた例はない。今日のパワーが見せた3回も全開走行を行う体力、切らさぬ集中力、そしてポール獲得、あるいは最速ドライバーになることへの執着心の強さには驚くべきものがあった。ファイナルステージの最初にニューガーデンがブラック装着でかなりの好タイムを出した。そこにヒントを得たパワーと彼のチームは、素早く、そして的確に作戦を切り替え、セッション終了間際に1分16秒2597の最速ラップを記録したのだった。

 ポイントリーダーのモントーヤは、「今日の予選には満足している。ロードコースにおける自分たちのパフォーマンスは間違いなく良くなっている。今年の僕らはグランプリ・オブ・インディ以外ではファスト6に進めなかった。しかし、今日の僕らはトップ6で戦えた。勇気づけられる思いだった。明日のレース、僕らはスマートに、そして辛抱強く戦うつもりだ」と語った。

 対するレイホールは、「みんな新品のブラックを予選で使っていたが、僕らはそうしなかった。明日のレース、ライバルたちより僕らは1セット多いフレッシュ・ブラックを持っているだろう。それがアドバンテージに繋がることと願いたい。モントーヤを倒す。そしてチャンピオンになる。それが僕らの目標だ。どんな結果が待ち受けているのか、今から楽しみだ」とコメントした。

 佐藤琢磨は予選18位だった。「マシンは良くなっていた。レッドはブラック以上に摩耗が速く、ベストの力を発揮するのは1周だけ。その1周目に僕らは不運にもコース上のオイルと水に乗ってしまった。前を走っていたマシンが撒いたものだ。それでチャンスはアタック2周目だけになった。1周目より明らかに速いラップが狙えたが、今度はステファノ・コレッティ(KVレーシング・テクノロジー)がターン1で目の前に飛び出して来てアタックを妨害された」と悔しがり、「今週はマシン・セッティングで苦労して来ている。予選でマシンの方向性が良くなっていたので、明日のウォーム・アップでセッティングを向上させてレースも頑張りたい」と琢磨は語った。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)