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演技が歌に及ぼす化学反応ーーLittle Glee Monsterが初ドラマ出演で学んだもの

2015年08月29日 18:11  リアルサウンド

リアルサウンド

Little Glee Monster。

 8月4日(火)からNHK BSプレミアムにてスタートしたNHKプレミアムよるドラマ『オンナミチ』に、Little Glee Monsterが出演していることは、彼女たちのファンならご存知のことだろう。リトグリがテレビドラマに出演するのはこれが初めてのこと。デビューから1年に満たない彼女たちが役者としても活躍することから、6月にこの情報が解禁されて以降、大きな反響を呼んでいる。


 『オンナミチ』はレコード会社のA&Rとして働く30代の独身女・山口梨花(片瀬那奈)が、「20年後の未来からやってきた自分」であると主張する50代のオバちゃん(渡辺えり)とともに、悲惨な未来を回避するべく人生の見直しを図るコメディ。8月4日の初回から全8回の放送が予定されており、8月18日(火)には第3話「スキャンダルは女の勲章?」がオンエアされたばかりだ。


 リトグリは劇中にて、梨花が手掛ける新人アーティスト「シュガーガールズ」として登場。路上やライブハウスでのアカペラ歌唱やパフォーマンスシーンで持ち前の歌唱力を如何なく発揮するほか、少ないながらもセリフがある場面もあり、女優としての片鱗も見せている。ちなみに第3話「スキャンダルは女の勲章?」ではシュガーガールズのメジャーデビューが決定し、劇中では今後本格的なデビューに向けて出演場面も増えていくのではないかと予想される。


 実は今年5月上旬、リトグリの路上ライブシーンを撮影するということで、筆者はドラマ『オンナミチ』のロケ撮影を見学させてもらう機会を得た。私が見学したのは第3話後半の、路上ライブ中に観覧客に向けてメジャーデビューが決まったことを告げるシーン。リトグリの6人はスタジオ内での撮影をすませると、東京都内某所でのロケ場所に移動し、夕方からの路上ライブシーンに向けて準備を進める。撮影スタッフやエキストラがロケ場所に集合して撮影内容について説明を受けている中、リトグリの面々は普段と変わらずたわいもない話で笑い合ったり、ほかのメンバーにちょっかいを出したりとリラックスした様子。この頃は5月のわりに暑い日が続いていた時期だったが、当日はかなり風が強く、日が暮れると肌寒くて、メンバーは空き時間になると厚手のコートを羽織って撮影開始を待った。


 そして準備が整うと、6人は番組内で何度も披露している新曲「書きかけの未来」をアカペラ歌唱。さまざまな角度から撮影する必要があるため、彼女たちは何度も同曲をパフォーマンスしてみせた。続いては、観客役のエキストラを多数交えて、「書きかけの未来」を再びアカペラで披露する。ここでは街中で撮影していることもあり、リトグリのアカペラが始まると思わず足を止めて彼女たちの歌に聞き入る通行人の姿も多数見受けられた。そしてカメラの位置などを設置し直している間は、彼女たちは上着を羽織って暖かい飲みものを飲みながらメンバー同士でじゃれ合っている。カメラのセッティングが完了すると、「書きかけの未来」のパフォーマンスに加え、観客にメジャーデビューを告げるシーンを撮影。途中から片瀬那奈などの俳優・女優陣も離れた場所で撮影に加わり、短い場面ながらもさまざまな角度から何度も撮影が続けられる。こうして約2時間を要して、リトグリの路上ライブシーン撮影は無事終了した。


 当日撮影に立ち会った番組スタッフから聞いたところによると、リトグリの面々はクランクイン当初こそ緊張した様子だったが、撮影を重ねるごとにリラックスしていき、この日の撮影の時点ではすでに「女優としての表情」を見せる瞬間もあったという。普段とは異なる環境の中、最初はなかなか慣れなかったのかもしれないが、大好きな歌を通じて演技を重ねることで自然と女優の顔が備わっていった……番組スタッフの話を聞いて、思わずそんなことを想像してしまったのだが、この機会に得た「演じる」という武器が今後彼女たちの歌にどのような化学反応を起こすのか、早くも楽しみでならない。


 そういえば、今春に開催された初の東名阪ツアーでは曲の途中でメンバーが仲間割れするかのような寸劇も用意されていた。この寸劇も「演じる」ことには違いないわけで、あの初々しい演技が今後のライブではよりレベルアップしたものになるかもしれない……というのは言い過ぎだろうか。どちらにしろ、彼女たちの表現の幅が広がることには違いないわけで、9月からスタートする全国ツアー「Little Glee Monster LIVE TOUR 2015 ~リトグリ、秋のガオッとオールJAPAN!!~」ではより成長した彼女たちの姿を目にすることができるはずだ。9月23日に発売決定した4thシングル『好きだ。』含め、今年後半のリトグリの動向からまだまだ目が離せそうにない。(西廣智一)