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ブクガ・篠崎こころが『ミリオンドール』イベントでトーク “オタの強弱”や“女オタオタ”に切り込む

2015年08月28日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『ブクドル・ユニオン』の第1回に登壇したMaison book girlと篠崎こころ

 藍が原作を務めるマンガ『ミリオンドール』のTVアニメ化を記念したイベントが、8月15日にdues新宿にて開催された。


(参考:http://realsound.jp/2015/08/post-4248.html


 同イベントは、ディスクユニオンが運営する書店・ブックユニオンによるライブ・トークイベントシリーズ『ブクドル・ユニオン』の第1回。ディレクターを務めるアイドル専門ライターの岡島紳士氏が、アイドルや音楽、本と関連した企画を展開していくもので、今回はマンガ『ミリオンドール』を題材に、作者の藍とMaison book girl、篠崎こころが出演した。


 冒頭、岡島氏が藍氏だけを呼びこむと、2人は作品の基本情報についてトーク。同作が、引きこもりのアイドルオタク・すう子が、福岡県のご当地アイドルであるイトリオを、アイドル現場でカリスマと呼ばれるリュウサンが、地下アイドル・マリ子をそれぞれ売りだそうとする様を描く群像劇であること、あくまでこれが影響力の大きい“強いオタク”とインディーからメジャーを目指すアイドルがメインであることを解説した。そして同作を描いた理由については「誰もリアルなオタクを描いてこなかったから、じゃあ私が描こうと思った」と、使命感をもって作品を手掛け始めたことを明かした。


 その後、檀上にはMaison book girlと篠崎こころが登場。ギリギリの到着となったコショージメグミは、開口一番「洗濯物を干さなきゃいけないけど間に合わないので、床にぶちまけてきました」と述べて会場を沸かせたあと、藍氏の存在に気づき「作者の方ですか!?」と絶叫するなど、相変わらずのマイペースさで、冒頭からこのイベントが混沌となることを予感させた。


 また、篠崎こころは自らが所属するグループであるプティパ-petitpas!-のメンバーも同作の愛読者であることを述べると、『ミリオンドール』の魅力について「普段オタクの人たちはこんなことを思いながら応援してくれているのかと思った」と、アイドル側からの意見を語った。続けて藍氏は「BiSの楽曲を作中では何曲か使っているし、握手会にも行ったことがある」と告白し、これに対し元メンバーのコショージは、恥ずかしさと恐縮のあまり赤面していた。


 その後、矢川葵は同作について「知ってるオタクが出ていた」と、作中に登場する「チャリフト」(ライブ中にオタがオタの体を持ち上げ、アイドルにアピールする行為をリフトと呼ぶ。チャリフトはその発展系で、自転車に乗ったオタが持ち上げられる)をする人物が、自分の現場にも来ていることを明かすと、藍氏はこれら個性の強いオタクを積極的に描いていることについて「ステージと客との反応で、パフォーマンスが変わってくる。それを描きたかったんですよ」と作品に込めた主張を展開した。


 また、和田輪は、作中で衣装も作れず新曲も貰えないアイドルに対し、オタクが次々とクレジットカードを手渡そうとするシーンを印象的だと挙げ、その理由について「だいたいどの現場にも、何してるかよくわからないけど金持ってる人いるなーと思って」と語ると、会場は爆笑に包まれた。続けて井上唯は、自身の地元である福岡県のご当地アイドルが題材に上がっていることをふまえ「藍さんは福岡出身なのでしょうか?」と質問。藍氏はこれを肯定し、イトリオのメンバーに元ヤンキーが1人いることについても「こういう設定はやってみたかった。福岡っていまだに暴走族とかいますからね」と地元ネタを放り込んだ。すると井上は「え、ほかのところって暴走族とかいないんですか…?」と驚愕の表情を浮かべ、さらには他メンバーから“元ヤン疑惑”を掛けられるに及んだ。


 イベント後半では、アイドル現場にいる女性オタクのオタクになるという“女オタオタ”へと話題が移ると、矢川が「『合コンするんやったら他でせえ』という気持ち」と露骨に怪訝な表情を浮かべると、コショージは首を傾げながら「私はタワーレコードで働いてる時代に、レジで男の人から『(サロンに着けているアイドルのバッヂを指差し)そのアイドル好きなの?』と聞かれて肯定したら、次から色んなグッズを持ってくるようになったんだけど、これも女オタオタなの?」と質問し、他のメンバーを困らせる一幕も。また、篠崎は「見たことあります、『遠征したいけどお金ないんだよねー』って他のオタクに愚痴って遠征費出してもらう人」と現場にいる“女オタオタをコントロールする女オタ”の存在を明かし、一番厄介なのはその領域にいる人物であることを示唆した。


 トークの最後には、篠崎が「みんな強いオタばかりだから、私みたいな弱いオタも描いてほしい」と懇願すると、藍氏は「もちろん。いつかは全部のオタを描いてみたいと思っています。これはガチャをコンプしたい欲望と同じですね」と独自の理論を展開し、無事にコーナーは終了した。


 イベント最後のライブコーナーでは、Maison book girlがライブを実施。有線マイクで行っていたため、途中には絡まった線をほぐすコーナーなどが用意されたが、ここで和田が「いつか無線でライブやれたらいいね」と語り、ファンから「やろうよ! 買おうよ!」という声が口々に上がったのを見て「マンガみたい」と発言し、イベントが終了した。


 今後も定期的にアイドルや音楽、本と関連したイベントを企画していく『ブクドル・ユニオン』。次回は9月以降にショートカット推進委員会の写真集『0410』を題材にした公演が実施される予定だ。(リアルサウンド編集部)