マクラーレン・ホンダのジェンソン・バトンと元F1ドライバーのデイビッド・クルサードは、イギリス・リッデンヒルで世界ラリークロス選手権(WorldRX)のマシンをドライブした。
ふたりは英テレビ局BBCが年末に放送を予定しているF1特集番組の収録の一環としてマシンをドライブ。バトンはJRMレーシングのミニRXに、クルサードはSDRXのシトロエンDS3に乗車し、ふたりとも多くの周回をこなしたという。
「今日は色々なことを経験することができた。普段、僕が経験していることとはまったく異なる体験だったよ」とバトン。
「マシンは遥かにパワフルだったけど、ドライビングの原則は変わらなかった。ただし、このマシンをドライブするには、高いスキルが必要だ。それに、単独で走行しても少し恐怖を感じるのに、ほかの4~5人のドライバーと一緒に走り、バトルする必要もある」
ラリークロス用マシンは、停止状態から時速100kmまでの加速性能でF1マシンを上回っており、バトンはミニRXのパフォーマンスに感銘を受けたと語っている。
「本当にパワフルなマシンだから、簡単にドライブできると感じてしまった。コーナーのエイペックスでハンドブレーキを引いてターンして、ブレーキを離すと同時にアクセルを踏めばいい、とね」
「当然だけど、そう簡単には行かなかったよ。狂気すら感じたけど、子どもの頃に思い描いたマシンサウンドとアクション、派手なドリフトを体感できる。本当に素晴らしい経験だった」
バトンとラリークロスは無縁ではなく、バトンの父であるジョン・バトンは1970年代にラリークロスに参戦。76年にはイギリス国内の選手権でチャンピオンを獲得する活躍をみせている。
今回の収録で、バトンは現代のラリークロス車輌をドライブする前に、レトロ・ラリークロス選手権で使用されている1974年製フォルクスワーゲン・ビートルをドライブしている。
「僕はラリークロスとともに育ったんだ。父が戦っているのを見ていたし、マシンのサウンドを聞くのが好きだった」
「もしラリークロスを知らなければ、F1に参戦してチャンピオンを獲得することはなかったと思う。モータースポーツを好きになったのは、ラリークロスのおかげだからね」
バトンとともに収録に臨んだクルサードは、昨年のWorld RX第3戦ノルウェーにスポット参戦した経験があるほか、去年バルバドスで行われたレース・オブ・チャンピオンズでもラリークロスマシンをドライブ。World RX王者ペター・ソルベルグと対決し、勝利を収めている。
クルサードは「ラリークロスでは、毎周路面コンディションが変化するターマックとグラベルの混合コースを走る必要がある。かなり高いスキルが求められるレースだよ。だから、参戦しているドライバーを尊敬する」とコメントしている。
「彼らがどれだけ高いスキルを持っているか理解できるから、ラリークロスのマシンをドライブできることに感謝しているよ」
「また、World RXが急速に人気を集めていることも嬉しく思う。ここ数年で何回かレースを見ているけど、遊び半分で挑戦できるスポーツではない。ワールドクラスのバトルが繰り広げられているんだ」