ヘイキ・コバライネン 2015年のスーパーGTシリーズはいよいよ後半戦に突入。8月29・30日には第5戦インターナショナル鈴鹿1000kmが開催される。序盤戦で思うようにいかなかったチームにとっては背水の陣となる1戦。ここで注目したいのが、今シーズンLEXUS TEAM SARDから初めてGT500クラスに参戦している元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンだ。彼にとってF1でもレースをした思い出の地、鈴鹿で重要な1戦を迎える。
コバライネンは2007年にF1デビューを果たし、翌年のハンガリーGPで優勝。鈴鹿サーキットでの日本GPにも計4回出走を果たしている。今年からスーパーGTに挑戦しているコバライネンは、前半の4戦で非常にポジティブな印象を持っているという。
「スーパーGTはすごくエンジョイしているし気に入っているよ。クルマも非常にクイックだしレースのレベルも非常に高い。自分にとっては充実したシーズンになっているね。レクサスやチームサード、そして相方のコウヘイ(平手晃平)も素晴らしい仕事をしてくれていて、彼らとも上手くやっていけている。僕もチームとレクサスのために最良の結果を求めて日々努力をしている。その環境を楽しみながらシーズンを過ごせているよ」
「また日本にはF1の時から僕のことを応援してくれるファンがたくさんいてくれて、サーキットにも毎回足を運んで熱狂的に応援してくれる。毎回、日本に来るのが楽しみだね」と笑顔で語った。
今週末の第5戦の舞台は、自身もF1で走った鈴鹿サーキット。F1でも数々のワールドチャンピオンが決定し、また世界一をかけた熱いバトルが繰り広げられた場所。F1を目指していた各国の若手ドライバーたち同様、コバライネンにとっても鈴鹿でレースをするというのは憧れのひとつだったよう。鈴鹿への話題になると、その表情からも凄く楽しみにしていることが伝わってきた。
「僕にとって鈴鹿はF1で走った思い出もあるし、何より大好きなサーキットのひとつ。またここに戻れると思うと嬉しいし、早くレースがしたくて待ちきれない気分だね。何より(日本の)他のサーキットと違って、僕は鈴鹿をよく知っているしレース経験もあるから、自信をもって臨める。RC Fに乗ってテストをした際も良い感触を得ていたから本番でのレースが本当に楽しみだよ」
ただ今回の鈴鹿は、通常の3倍である1000km。1人あたり2~3スティントは走る必要がある。また開催時期も夏ということで、ドライバーは毎年厳しい暑さとの戦い。シーズンの中で最もドライバーやチームに負担がかかる1戦だが、初挑戦となるコバライネンは全く心配していないという。
「僕は今まで耐久レースの経験はあまりないけど、そこは関係ないと思う。今のGT500は最初から最後までプッシュし続けなきゃいけなくて常にスプリントバトルのようなレースを求められるからね。レース距離が長くなっても心配はしていないよ」と自信をみせていた。
ここまで全戦でポイントを獲得し、相方の平手とともに18ポイントでドライバーズランキング11位。チャンピオン争いでは遅れをとってしまっているが、上位陣はウエイトハンデが60kg台後半になっているチームもある。特に鈴鹿はウエイトの影響を受けやすいコースでもあり、今週末の第5戦ではより39号車のようにウエイトが軽いチームにチャンスが出てくる。さらに1000kmに向けたの強力な助っ人として、チームは第3ドライバーに元F1ドライバーで鈴鹿でのレース経験もあるクリスチャン・クリエンを起用。F1のテスト経験もある平手を含めて、F1トリオで上位争いを目指す。
最後に、コバライネンに鈴鹿に向けて意気込みを聞くと「現状チャンピオン争いは厳しい状況にあるけど、まだ諦めてはいないし常に最良の結果を求めてプッシュしていくのみ。鈴鹿ではランキング上位との差を詰められる1戦にしたい」と力強くコメントした。
これまで4回鈴鹿でのF1日本GPを経験してきたコバライネン。しかし、F1では残念ながら結果には恵まれておらず2009年の11位が最高だった。今週末の鈴鹿1000kmではF1の時に果たせなかった鈴鹿での表彰台、そして優勝を掴みとることができるか、今週末の39号車の走りから目が離せない。