FIAのF1技術部門の責任者を務めるチャーリー・ホワイティングが、オープンホイールレーシングにおけるドライバーの安全性を高めるため、将来コクピットを保護するデザインを採用することを目指し、来月新たな手法についてテストを行う予定であることを明かした。
日曜にインディカーのポコノ戦で、ジャスティン・ウィルソンが他車のデブリが衝突したことで命を落とした。この事故により、オープンコクピットの危険を懸念する声が再び高まっている。
2009年にF2レースでヘンリー・サーティースが脱落したタイヤに当たって死亡、その1週間後のハンガリーGPでフェリペ・マッサが他車のパーツがヘルメットに当たったことで重傷を負った。それ以来FIAはドライバーの頭部プロテクションを導入する方法を検討している。
最初のデザイン案は戦闘機に類似したクローズドコクピットだったが、テストを重ねた後に、事故後にドライバーが閉じ込められる可能性を考慮し、これは廃案となった。
次にドライバーの前方にロールバーを設置するアイデアに関しても検討が行われたが、ドライバーの視界を遮るとしてこれも断念されている。
FIAは新たに別の2種類のデザインを来月末にテストしようとしている。
「この数年、この問題に取り組んできて、多数のソリューションを見出した。そのうちいくつかは比較的うまくいきそうだ」とホワイティング。
「(戦闘機型カバーおよびロールバーとは)別の2種類のソリューションを検討している。ひとつはメルセデスが提案したものだ」
「ドライバーを覆わず、(事故の後)ドライバーを助け出せる。これは最も重要な要素のひとつだ。ドライバーの頭の上部と前方にフープを装着する」
「もうひとつのデバイスはさまざまな高さの翼状のもので、これをシャシーの上部、ドライバーの前部に、ドライバーからはほとんど見えない角度で設置する」
テストではホイールとタイヤなどの物体をシャシーに向かって飛ばし、コクピット内のドライバーの頭部の状態をシミュレーションする。
このふたつのソリューションが一定の水準に達しない場合には再度最初から計画を見直すつもりではあるが、けがや死亡事故を防ぐのに役立つ解決法はいずれ見つかると、ホワイティングは述べた。
「膨大な時間、努力、リサーチをこのプロジェクトに費やしてきた。簡単なことではない。実際極めて難しい」
「しかしいつかうまくいく日が来る。ドライバーのけがのリスクを減らす手段がいつか見つかる」
「前方から何かが飛んできた場合に、ドライバーを守る効果が戦闘機のコクピットと同じぐらいあるとは言えないが、ある程度の効果は発揮する」
「忍耐強く取り組んでいかなければならない。あらゆる状況においてドライバーを100パーセント保護するものでなかったとしても、何か手段を講じなければならない」
「完全なものでなかったとしても、状況が向上すればメリットはある。何か方法があるはずだ」