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高畑充希、NHK連続テレビ小説で主役に選ばれた理由は? 隠れた実力派のポテンシャルを読む

2015年08月25日 12:51  リアルサウンド

リアルサウンド

『高畑充希 カレンダー 2015年』

 女優の高畑充希が、来年4月スタートのNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』のヒロインに内定し、話題となっている。同作は、戦後の混乱期に12歳で父を亡くした主人公の小橋常子が、「とと(父)になって(家族を)守ってくれ」という父の遺言に従い、母と2人の妹を懸命に養っていく物語。高畑にとって、連続ドラマ初主演作となる。


参考:渡辺謙、森山未來、綾野剛、広瀬すず・・・・・・吉田修一原作『怒り』キャスティングへの期待


 ドラマ『問題のあるレストラン』では川奈藍里役を演じ、ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞を受賞したほか、ORICON STYLEが発表した『2015年上半期ブレイク女優ランキング』では3位になるなど、2015年に入り勢いが増している高畑充希。その女優としての魅力や特性はどんなところにあるのか。また、今回NHK連続テレビ小説のヒロイン役を射止めたことで、どんな期待が持てるのか。ドラマ評論家の成馬零一氏に聞いた。


「彼女はもともとミュージカル畑の出身で、中学~高校時代から数々の舞台で主演を務めてきた実力派の女優です。演技力はもちろん、歌唱力も折り紙付きで、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』(2013年)に出演した際は、脚本の森下佳子さんが彼女のために書いたという『焼氷有り〼の唄』で美声を披露するなど、芸達者ぶりを見せていました。しかし、これまで民放ドラマなどでは真面目な優等生の役などが多かったこともあり、その実力ほどに目立つ女優ではなかったように思います。上手いけれど地味な女優、という印象を持つひとも少なくなかったでしょう。ところが最近は、たとえば『問題のあるレストラン』(フジテレビ)で、恋愛依存症の"きらきら巻き髪量産型女子"川奈藍里役を演じるなどして、幅広い役柄に対応できる女優だということを示しています。世間に実力派だということが認知され始めた今、『ごちそうさん』にも出演していた彼女が、次にNHK連続テレビ小説の主役に選ばれるというのは、非常に納得のいく流れでは」


 また、今回の抜擢によって、高畑充希は女優として大きく飛躍する可能性も高いという。


「NHK連続テレビ小説の枠は、これまでも高畑のように実力はあるけれど優等生タイプで目立ちにくい女優を、ワンランク上のステージへと引き上げてきました。『カーネーション』(2011年)の尾野真千子や、『あまちゃん』(2013年)の能年玲奈、『まれ』(2015年)の土屋太鳳などは、そうしたケースの典型といえるでしょう。NHK連続テレビ小説は、すでに自身の色を確立した女優より、これからの女優のほうが物語的にも相性が良いのかもしれません。高畑充希もこの作品がドラマ初主演なので、これまで2番手、3番手の役柄で実力を見せてきた彼女が、中央に立つことによってどう変わるのか、興味深いところです。また、今回のドラマは戦後が舞台ということで、どこか懐かしい、素朴な雰囲気を持つ彼女にきっとマッチすると思います」


 ミュージカル女優として確かなキャリアを持つ高畑充希にとって、来年はその才能が大きく花開く一年となるかもしれない。(松田広宣)