2015年F1第11戦ベルギーGPは23日(現地時間)、伝統のスパ・フランコルシャンで44周の決勝レースが行われ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが今季6勝目となる通算39回目のトップチェッカーを受けた。
シーズン後半の幕開けを告げる第11戦ベルギーGP。このグランプリからスタートシステムのサポートが一部規制され、多少の混乱も予想されたが、無難なスタートを決めたハミルトンがライバルを寄せつけない走りで完勝、2年連続のタイトルに弾みをつけた。
レースは11番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグがスタート前にトラブルに見舞われ再度やり直しとなったが、1コーナーでトップを守ったハミルトンがスタートで2番手に浮上したフォース・インディアのもう一台、セルジオ・ペレスのストレートチャージを退け、序盤から独走状態の展開に持ち込んだ。
一方、2番グリッドに並んだメルセデスのニコ・ロズベルグはスタートを失敗。4番手までポジションを落とすと、3番手を走るダニエル・リカルドの後ろで徐々にハミルトンから遅れをとり、序盤で早くも8秒のリードを許してしまう。
8周目、3番手のリカルドが先行するペレスをアンダーカットするためにピットイン。狙い通り、翌周に反応したペレスの前に立つことに成功したが、直後のケメルストレートですぐにペレスが逆転する。
またこれを機に、続々と上位勢が1回目のタイヤ交換に向かい、オーダーはハミルトン、ロズベルグ、ペレス、リカルドと続いたが、予選4番手ながらギヤボックス交換で9番手スタートを強いられたロータスのロマン・グロージャンが、次第に前とのギャップを縮めていき、20周目までにリカルド、ペレスを立て続けにオーバーテイクして3番手まで浮上してくる。
しかしその20周目に5番手のリカルドがマシントラブルでコース上にストップすると、バーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、この間に3番手グロージャンをはじめ数台のマシンが2度目のタイヤ交換を済ませる。これでオーダーは、ハミルトンとロズベルグのトップ2に続き、上位勢の中で1回目のピットストップを最後に行っていたフェラーリのセバスチャン・ベッテルが3番手に浮上した。
するとベッテルは、ここからタイヤを労わりながら周回を重ねていき、上位勢ではただひとり1ストップ戦略でチェッカーを目指していく。だが、徐々にレースが進むにつれ、ベッテルよりも7周分新しいタイヤを履く4番手のグロージャンがフェラーリとの差を縮めていき、35周目には両者の差が2.2秒まで接近した。
一方、レースリーダーのハミルトンは中盤以降も安定した周回でトップを走行。VSC明けに一時、ロズベルグとの差が2.2秒まで近づいたが、その後はすぐに5秒前後までギャップを広げると、終盤は完全にレースをコントロール。最後まで完璧な走りをみせたハミルトンはそのまま今季6勝目のトップチェッカーを受け、チャンピオンシップのリードを28ポイントに広げた。
スタートの失敗が響いたロズベルグは勝機を見出せずに2位。逆に最後まで熾烈なバトルが繰り広げられた3位争いは、終盤もベッテルが追い上げるグロージャンをなんとか抑え込んでいたが、残り2周でベッテルの右リヤタイヤが突然バースト! これで3番手を手に入れたグロージャンが自身とロータスにとっての今季初表彰台をつかんだ。
4位は、こちらも残り5周でフェリペ・マッサとペレスを攻略したレッドブルのダニール・クビアトのものとなり、メルセデス勢のトップ4独占を阻んだ。
完走は16台。なお、予選3番手のバルテリ・ボッタスはスタートの遅れに加え、ピットストップで右リヤにだけ別のタイヤを装着されるというチームのミスもあって、最終的に9位でフィニッシュ。また、今回のレースに改良を施したパワーユニットで臨んだマクラーレン・ホンダは、トップから1周遅れの13位と14位でチェッカー。結果的に周回遅れは彼らとマノーの2台だけだった。