またもメルセデス勢同士の争いとなったベルギーGPの予選は、ルイス・ハミルトンがモナコGPから続く6戦連続、今季10回目のポールポジションを獲得。シーズンで最も多くのポールポジションを獲得したドライバーに贈られるポールポジション・トロフィーを早くも手にしました。
21ポイント差でタイトル争いをリードするハミルトンに対し、前半戦の予選で1勝9敗と大きく負け越したランキング2位のニコ・ロズベルグ。彼としては、後半戦の大事な初戦ベルギーGPで一矢報い、ライバルとの戦いを少しでも優位に持ち込みたかったはずです。しかし、土曜日の予選では逆にハミルトンが約コンマ5秒もの大差をロズベルグに築き、チームメイトとの争いで自信を深める結果となりました。
予選最後のQ3では、ハミルトンが最初の計測ラップで1分47秒449をマークしたのに対し、ロズベルグは1分47秒995。2回目の最終アタックではハミルトンがさらにタイムを縮めて1分47秒197を記録、それに対しロズベルグも同様に1分47秒665を記録しましたが、1回目のタイム差は0.546秒、2回目は0.468秒というものでした。
このコンマ5秒近い差は、テクニカルセクションのセクター2で生じたものです。ハミルトンが予選後に「今まではセクター2が弱点だった。ラインは分かっていても、どうしても連続するコーナーをうまくまとめることができずにいた。でも今日の最後の2周ではそこをものすごくうまくやることができた」と語っているように、セクター2を47秒786で駆け抜けたハミルトンに対し、ロズベルグは48秒239で、その差は0.453秒。このギャップがほぼそのまま最終的なタイム差となったことが分かります。(セクター1:ハミルトン30秒593、ロズベルグ30秒509/セクター3:ハミルトン28秒818、ロズベルグ28秒851)
このことからもハミルトンがセクター2での走りを改善し、ポールポジションにつなげたのは事実。このアドバンテージがある限り、ハミルトンはたとえ決勝のスタートでライバルの先行を許したとしても、常にオーバーテイクを仕掛けるチャンスを手にしていると言えるでしょう。
なお、今回のベルギーGPからは、スタート手順に関するピットウォールからのサポードが大幅に制限されることになっているので、メルセデスのふたりはもちろん、各車のスタートダッシュにも注目です。
一方、今回のベルギーGPを前に3トークンを使用したパワーユニットのアップグレードを実施したマクラーレン・ホンダは、予選で17番手と18番手に終わり、セカンドラウンドのQ2にさえ進出することができませんでした。
ホンダは、今回投入の新スペックに関し、燃焼室の変更による給排気システムのレイアウト変更で、燃焼特性の向上およびギヤトレインの変更も図るとし、出力においてフェラーリに並ぶことを目指しているとコメントしていました。
しかし、予選で記録された2台の最高速は、ジェンソン・バトン車が全体の18番手となる318.3km/h、19番手のフェルナンド・アロンソ車は317.9km/hで、フェラーリの335.0km/h(セバスチャン・ベッテル車、キミ・ライコネン車333.3km/h)からは10km/h以上も離される結果となりました。(最高速トップのセルジオ・ペレス/フォース・インディアは341.8km/h)
もちろん、パワーユニットの出力がそのまま最高速に反映されるわけではありませんが、レースを前に「(スパでは)フェラーリと同じようなレベルになることを目指す」と語っている以上、こうした数値が多少は接近するという期待が生まれたことも事実。今回は、新しいパワーユニットのエレメント交換で最後列からのスタートとなりますが、レースではなんとしても完走を果たし、今後のさらなるパフォーマンス向上につなげてほしいものです。