F1ベルギーGP土曜日は、ホンダにとって厳しい一日となった。まず、パワーユニットの交換。ホンダは3トークンを使って、燃焼効率を上げた改良型ICEをスパ・フランコルシャンに持ち込み、2台に搭載。さらにターボやMGU-KとMGU-Hも新しいものに交換して、初日のフリー走行を終えていた。ホンダの新井総責任者によれば「データ上に不安要素があったので大事をとった」ため、土曜日さらに新しいコンポーネントを投入。フェルナンド・アロンソはICE/ターボチャージャー/MGU-Hで8基目、MGU-Kは7基目。ジェンソン・バトンはターボチャージャーとMGU-Hが9基目、ICEとMGU-Kは8基目となった。これにより、アロンソ55グリッド、バトン50グリッドの降格ペナルティを受ける。
すでに報じられているように、マクラーレンのチーフオペレーティングオフィサーのジョナサン・ニールは土曜日のエンジン交換について「トークンを使用して改良を加えたフレッシュなエンジンを、今後のグランプリでペナルティなしで使うためにプールした」と語っており、戦略的な交換と見られる。
しかし、その土曜日から使い始めた新しいパワーユニットに不具合が発覚した。フリー走行3回目が開始された直後、インストレーションラップ中に、アロンソのエキゾーストの温度が上がったのだ。「このまま走ったら、まずい」と判断したホンダは、アロンソに無線でピットインするよう指示。現在のパワーユニットはエキゾーストパイプがターボと連結しているので交換が難しい。パワーユニットごと交換するか、エキゾーストパイプだけを交換するか熟考した結果、後者を選択。予選では同様の問題は起きなかった。
新井総責任者は、このトラブルについて「ICEの変更にともなってエキゾーストも変更してきましたが、原因はICEの変更にあるとは思っていません。おそらく、製造上の問題でしょう」と説明。結局アロンソは予選前のフリー走行で計測ラップを行うことができず、ぶっつけ本番で予選を迎えることとなった。さらにマクラーレンは金曜日から空力のセッティングを変更し、2台で比較するプログラムを用意していたが完了できず、セットアップも完璧でない状態だった。
ふたりそろって、予選16位のフェリペ・ナッセから1秒以上も遅い、予選17位と18位。パワーユニットの馬力が足りないだけでなく、空力のセットアップが十分でなかったことも大きく影響していた。
合計で105番手降格のペナルティを受けた2台は、ベルギーGPを最後尾から戦う。無線による指示を受けずに行われる新規定下でのスタート、そして波乱の可能性を秘めた難コースで、ベテランふたりがどこまで上がってくるか期待するしかない。
(尾張正博)