ポンサクレック・シンワンチャー、亀田大毅、興毅の亀田兄弟の因縁の対決で一躍、時の人となった元WBC世界フライ級王者の内藤大助さんがスーパーフォーミュラ第4戦が行われているツインリンクもてぎで、N-ONE OWNER'S CUP第7戦に参戦。最終ラップでリタイアという悔しい結果に終わった。
ホンダがクルマを購入したユーザー向けに発刊しているHonda Magazineの企画を兼ねてN-ONEカップに参戦した内藤さん。予選では42台中38位、決勝では最終ラップの5コーナーでオーバーランしてグラベルに捕まって10カウント、レース終了(記録上は41位完走扱い)となったが、初めてのレースを存分に楽しめた様子。そのレース直後の内藤さんに聞いた。
「面白かった。レースって面白いなと思った。レースは初めてで練習は昨日とその前、1か月くらい前にもてぎに来て走ったので、2回やってんだ。そして今日が本番。ちょっと無謀だったかもしれないですけど(笑)、チャレンジしました。いや~おもろいなあ~」
練習で走るのと本番のレースの違いは、内藤さんに大きな刺激となったようだ。
「もう、全然違いましたね。レースはやっぱり緊張感が出ていいね。本番っていうのはいいね。大会っていうのはいいね! うん、やっぱりね、白黒ハッキリつけるっていうのはいいことだと思う。ちょっと話、ズレるけどよ、今の運動会で順位つけない運動会をする学校があるんだって? そりゃあダメダメ、な~に言ってんだと思うよね。個人的意見ですけどね。やっぱり、順位つけてなんぼよ。緊張感あるね。順位つけないスポーツなんて面白くないもん。レースも緊張感あって、面白かったよ」
レース直後の興奮そのままに、レースの醍醐味、コンペティションの大切さを持論とともに展開してくれた内藤さん。そのレースとボクシングとの共通点は、どんなところにあったのだろう。
「戦うというところは同じだよね。それに本番って、やっぱり面白いね。もちろん、ボクシングほどじゃないですけど大会前、試合前、レースが近づくとやっぱり緊張してくるんだよね。あの緊張感ね! 嫌でもあり、興奮でもありっていう。もちろんプレッシャーでもあるけど、でも、戦うぞ!っていうね。ああいう緊張感はやった人にしか味わえないものだから、終わったらもう、最高の気分ですよ!」
レースは残念ながら、フィニッシュのチェッカーフラッグを受けることはできなかった。しかも最終ラップでグラベルにノックアウトされたような展開となったが、最終ラップでの5コーナーでの飛び出しはどういう状況だったのか。
「もうね、いっつもやるんだ、あの(5)コーナーで。悔しいわ~。まあ、しゃあない。レースって難しいなあ、奥深いわ。僕にとって魔のカーブです。5コーナーでガーっと(アウトに滑って飛び出してしまった)。しゃあない、これが実力です。超、悔しい! 何より、最後まで戦えなかったのが悔しい」
顔にしたたる汗を拭きながら、右のモモを叩いて悔しがる姿は、まさに勝負に生きた男の姿。「もうね、勝負に負けるっていうのはホント、悔しいんだ」と繰り返す内藤さん。今後、リベンジの機会、レースに参戦する可能性はあるのだろうか。
「次、あるかわからんけど、またね、こういう機会があったら是非、やってみたいですね。ツインリンクもてぎに関しては今度、家族で遊びにきたいですね。今回のレースをいいキャリア、いい思い出にしたいと思っています」
世界を制した運動能力はまだまだ高く健在なはず。内藤さんのボクシングのスタイルであるトリッキーさとユニークなキャラを、もう一度、サーキットの場で見てみたい。