この時期になると「第一志望の選考に落ちたけど、就職留年してでもあの会社に入りたい!」と考え始める学生もいることと思います。自分なりにたっぷりと準備をしたのに、望む結果にならなかった残念さは理解できます。
しかし、今年度は「就職留年」をおすすめしません。留年したところで、希望が叶う確率は非常に低いと思われるからです。就職留年は就職氷河期には有効なこともありますが、16年卒採用は就活生には明らかに有利な状況といえるでしょう。(文:河合浩司)
採用のハードルが来年には上がってしまうかも
求人・採用数の増減は景気に大きく左右されるので、1年経てば状況が変わることもあります。現に昨年よりも今年の方が就職状況は良くなっており、各社は採用人数を確保するために例年よりも多く内定を出しています。
採用基準を下げているつもりはありませんが、数を確保しようと思えばボーダーラインでの判断は甘くなります。人口減による人手不足や就活後ろ倒しによる焦りもあって、現在はちょっとした「採用バブル」と化していると言っていいでしょう。
にもかかわらず第一志望企業の選考に落ちたのには、明らかに社風と合わなかったり、適性の有無を判断されていたりするなど、何らかの理由があります。
往々にして、これらの落ちた要因を明らかにすることは誰にもできません。そんな不確定な要素を抱えたまま、安易に就職留年を選ぶようなことは避けることをおすすめします。
もし本気で就職留年を考えるのであれば、自分の気持ちが「入社したい!」という思いだけではなく、「この会社でこういう仕事をしたい」という入社後の目的まで明確にあるかどうかを再考してください。
今まで興味のなかった業界・業種に目を向けよう
今の時代、留年自体は決して珍しくないので、それだけで落とす採用担当者は少ないでしょう。とはいえ「就職留年」が好意的に見られることもありません。
「就職留年してまで我が社を志望してくれているのか! 熱意がある!」
と受け取る採用担当者に、少なくとも私は会ったことがありませんし、私自身もそうは思いません。
ちょうど一通り有名企業を見て、なんとなく業界や企業のことが分かってきていることと思います。その上で、まだまだ知らない業界や企業がたくさんあることも、理解できていることでしょう。
だからこそ、今まで興味がなかった業界や業種などにも目を向けて、色々な企業を見てください。求人が多い今年だからこそ、中堅・中小企業で良い会社がまだまだ採用活動を続けていますから。
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