F1ベルギーGPの舞台、スパ・フランコルシャンは1周7km以上ある19戦のうちで最長のサーキット。パワーユニットのエネルギーマネージメントも難しくなる。
「ハンガロリンクはエネルギーがあまってしまうほどで、エネルギーのデプロイメント(配分)に悩む必要はなかったが、スパはどう計算しても絶対に足りなくなる。それはホンダだけでなく、どこも同じでしょう」とホンダの新井総責任者は説明する。
スパは1周あたり約70秒の全開区間がある。1周あたり使用できる運動回生エネルギーは4MJで、時間に換算すると約34秒間しかない。もちろん回生エネルギーにはブレーキ時に回収する運動エネルギーだけでなく、ターボを利用した熱回生エネルギーもあるが、それでも圧倒的に多い全開区間の前ではエネルギーが足りないことに変わりない。したがって、どこでエネルギーを使用するのが効果的か探ることが、どのサーキットよりも重要となる。ホンダは金曜日のフリー走行でそれを試したかったが、満足な成果をあげることはできなかった。
「今回は車体側も空力を変更してきたので、確認項目が多かった。さらに初日のフリー走行で3回も赤旗が出て、セッションが中断されたことも影響した。それ以外に、走行中にテレメトリーがダウンしたこともあった。そのため予定していたメニューをすべて消化することはできなかった」
今回、ホンダは3トークンを使用した改良型のICEを投入してきた。変更の主目的は「燃焼特性を変えて、出力を上げること」(新井総責任者)だが、その確認も金曜日には既述の理由からできなかった。フェルナンド・アロンソがフリー走行2回目に記録したベストタイムは、赤旗によって中断を余儀なくされたあとに出したもの。結局アロンソは予選シミュレーションができないまま、初日を終えている。
トークンを使った新パワーユニットの成果は、まだ確認できていない。
(尾張正博)