ムロツヨシ。ドラマや舞台で活躍する名脇役の俳優である。近頃彼が、凄くキテる。何がいいって、その「人間力」。とにかくイケイケゴーゴーの精神で人に関わり、自分をグイグイアピールするのが超得意なんだとか。
8月10日の「しゃべくり007」(日本テレビ系)に出演したムロは、人気俳優になるまでの過程を説明。ムロが俳優を志したのは19歳。大学に入って3週間目、たまたま見た舞台に感銘を受け、「自分もあっち側(演技する側)に行きたい」と決意。すぐに大学を辞め、俳優の養成所へ入った。(文:みゆくらけん)
「お金なし、彼女なし、芝居なし」から開き直る
しかし養成所に入ったからといって、俳優になれたわけではなかった。焦ったムロは自分でお金を出して劇場を予約し、身内や友達を集めてひとり舞台を行った。
その時のムロの演技は観客に全く評価されなかった。笑わす場面でも観客はひとりも笑わない。「ツヨシ、かわいそう…」という視線のシャワーを浴びたムロは、以降演技することが怖くなってしまった。
その後は大学を辞めてまで志した俳優への道を諦め、バイトするだけの日々が続いていたという。付き合っていた彼女とも別れたムロは「お金なし、彼女なし、芝居なし」の自分に激しく落ち込んだ。そしてこれからどうしていこうか、と自分を追い込んだ結果、もう開き直るしかないと腹に決めたムロ。もう一度俳優への道を目指した。
その後のムロの開き直りは凄かった。自分からどんどん積極的に人と交流し、役者のコネクションを構築していく。仲間の舞台後の飲み会があると聞けば参加し、「ムロツヨシです!使ってください!」と誰彼かまわずアピールしまくり、相手が引くほどだったという。
「ウザいなこいつ」と思う人がほとんどだが、中には「踊る大捜査線」の本広克行監督など「よし、使ってみよう」という人もおり、次の仕事につなげていったという。
一生懸命はいい。最近そういう人少ないから余計に
物怖じするような相手に、普通の人はそこまでガツガツいけない。しかしムロは一升瓶を持って自分から隣の席に向かい、必死に自己アピール&自らの名前を連呼する。
その強烈なインパクトとハートの強さに面白味を感じ、興味を持ってもらえたというから、開き直り精神で培ったコミュニケーション力は凄い。仲良しの小泉孝太郎の実家では、小泉元総理とも対面。いつもの調子で必死に会話を盛り上げ、元総理も喜んでいたという。
しかし、いくら開き直ったからといえ、ここまでハートの強い人はそういない。ウザいと思われるのは承知、嫌われるリスクも背負って他人との距離をガツガツと詰めていくムロの姿は、一生懸命でカッコイイ。最近そういう人少ないから余計に、だ。
ナンパでもなんでも、ムロのように攻めて攻めて、頑張ったらいいのだ。その女性をモノにしたいなら、その情熱を全開に出して迫ればいい。ウザい、キモいと走り去る女性が大半だろうが、中にはその情熱に心打たれたり、おかしくなって笑ってくれたりする女性もいるはずだ。「なんだコイツ」と思わせ、興味を持たせたら勝ち。ムロのコミュニケーション術から学べることは大きい。
あわせてよみたい:ミドル人材に求められる「人間性」とは何か