FIAが2016年F1においてピットからドライバーに対する無線の制限をさらに厳格化することを決定した。
2014年9月、FIAはドライバーがチームからのアドバイスなしに自分自身の判断で走るようにするため、チームからドライバーへの無線の通信を規制することを決めた。しかしチーム側から安全面で懸念があるとの主張がなされたため、ドライバー自身のパフォーマンス改善に関するアドバイスのみが禁じられた。2015年からはマシンパフォーマンスに関する情報伝達に関しても禁止される予定だったが、結局これは見送られた。
しかし今年FIAは、F1スポーティングレギュレーション20.1条の「ドライバーは自力で助けを受けずにマシンをドライブしなければならない」という一文をより厳しく実行することを決め、ドライバーたちはピットからのアドバイスをできるだけ受けずに走らなければならないという方針を打ち出している。ベルギーGPからは、ドライバーがグリッドから発進する際にチームから最適なスタートを切るための情報を与えることを禁止するという新規則が導入される。
FIAはさらに2016年には厳しい無線制限を行うことをチームに通知した。来年チームからドライバーに対する無線において許される項目は以下のとおりで、それ以外の内容については20.1条の違反とみなされる。
1.マシンの重大な問題の指摘(パンクの警告やダメージなど)
2.他車の問題の指摘
3.マシンの修復あるいはリタイアのため、ピットレーンに入るようにとの指示
4.マーシャルにかかわる情報(レースコントロールからの、イエローフラッグ、レッドフラッグ、レーススタートやり直しあるいは類似した指示または情報)
5.特定のコーナーでのウエット路面、オイルあるいはデブリ
6.他のドライバーとのポジション入れ替えの指示
7.ドライバーからのメッセージが聞こえたという確認
8.ラップタイムあるいはセクタータイムの詳細
9.他車のラップタイムの詳細
10.プラクティスセッションあるいはレース中の他車とのギャップ
11.「プッシュしろ」「今プッシュしろ」「~と戦うことになる」など
12.プラクティスセッションあるいはレース中にトラフィックの警告を与えて助けること
13.予選中、クリアラップを取るのにいいポジションを確保するため、マシン同士のギャップを知らせること
14.次のピットストップでのタイヤチョイス
15.レース中、他車がそのタイヤセットで走った周回数
16.他車のタイヤスペック
17.他車のレース戦略に関する情報
18.セールティカーウィンドー
19.チームのドライバーあるいは他車のドライビング上の違反(シケインカット、コース外走行、タイムペナルティの適用など)
20.DRSの使用が可能か不可能かの連絡
21.DRSシステムのトラブルへの対処
22.次のピットストップでのフロントウイングポジションの変更
23.オイルトランスファー
24.ピットに入る時期
25.ピットインあるいはピットアウト時の白線、ボラード、重量測定のシグナルについての確認
26.トラックリミットの確認
27.レースコントロールからのメッセージの伝達
28.マシンのダメージに関する情報
29.残り周回数
30.プラクティスセッション中のテストシーケンス情報(エアロマッピングなど)
31.天候に関する情報