労働者の権利である有給休暇。取得率100%が当然のはずだが、従業員に取らせなくても会社に罰則がないこともあり、なかなか取れないと嘆く人も多い。世界的に見ても、日本人の有休取得率は最低レベルであることは有名だ。
有休を取るのに本来理由はいらないが、「仕事を休むことは職場に迷惑をかける」という視点から気遣いが必要と考える人も。そんな中、マナー講師が「会社を休む理由、これってセーフorアウト!?」を判断する企画がネットで話題を呼んでいる。
忙しくて会う時間もないと「親や親戚が誇りに思う」?
この企画は、転職サイトのdodaが20代のビジネスパーソン向けに開設する「キャリアコンパス」が行ったもの。マナーコンサルタントの西出ひろ子氏が、10通りの「会社を休む理由」を取り上げて、アウトかセーフかを判断するものだ。
西出氏がセーフと判断した休む理由は、「身内や友人の結婚式」や「子どもや身内の看病」「ペットの病気の世話」といったもの。いずれも人生においてかけがえのないイベントであり、仕事よりも優先するのは当然と思えるものばかりだ。
ただし結婚式など何か月も前から申請していた場合でも、直前に職場か忙しくなった場合は「この状況下でお休みしても問題ないでしょうか?」と確認することを勧める。休む際も「忙しいときに申し訳ありません」と気遣うと良いとのことだ。
反対にアウトと判断したのは「田舎からの親戚の来訪」や「町内会の集まり」「自転車・自動車のパンク」。地域コミュニティへの協力も社会人の重要な務めだが、仕事を差し置いてするものではないらしい。親戚の来訪を理由に会社を休むのも悪くない気もするが、西出氏は、
「仕事が忙しくて会う時間もない、というくらいのほうが、親や親戚はあなたのことを誇りに思うかもしれません」
と、休みを取って会わないことのメリットを解説している。
休みをガマンすると「人としての磨き」がかかるのか
また、「体調の悪さはそれほどでもないけれど、気分が乗らない」といった場合にも、休むのはNGだという。その理由は「社会人として自覚に欠ける」行動だからであり、そこで休まないことのメリットをこう説明する。
「そこをあえて『我慢』『忍耐』をすることで、人としての磨きがかかり、活躍できる人材になれるでしょう」
この記事には、ネット上に「会社で快適に過ごしたいなら周りに気使った方がいいよってだけの話」と理解を示す意見もあがったものの、否定的な意見が目に付く。
「全部セーフに決まってんだろ」「有給休暇と労働者の権利無視」
「マナーで労働者が権利制限しあってどうするよー」
また西出氏は、お休みを取った翌日に職場でやるべきこととして「お礼の言葉は必須」「一人に1個行き渡るお菓子を差し入れる配慮があるとなおいい」ことをあげ、このような気配りや配慮によって「相手の気持ちがプラス」になるとした。
「会社に取得理由を伝える義務はない」と追記
この点についても、ネットには「翌日の謎マナーとかまじやめてほしい」と声がある。
「な、なぜ菓子を買っていかねばならんのだ。意味不明」
「オヤツ配るのと挨拶回りに奔走してる部下をみたら張り倒したくなるけど」
お菓子配りが必須になれば、気軽に休みも取れなくなる。マナーを過剰に気にする雰囲気と有休取得率の低さを関連付けて、「だから日本は有給休暇消化率が低いんですよね」とあきれる声もあった。
なお、この記事はネットで大きな話題となったせいか、19日になって「有給休暇の取得を申請する場合、会社に取得理由を伝える義務はなく、会社はその理由によって取得を断ることはできません」と追記がなされている。
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