2015年08月19日 17:41 弁護士ドットコム
性感染症にかかっているとウソの診断をされ、不必要な治療を受けさせられたとして、東京都内の40代男性が、「新宿セントラルクリニック」(東京都新宿区)の男性院長に約260万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁(近藤昌昭裁判長)は8月19日、院長による医療行為を「故意による詐欺行為と評価することができる」として、院長に約50万円の支払いを命じた。
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判決などによると、男性は2012年10月、この診療所でクラミジア感染症などの性感染症と診断され、検査や投薬などの治療を続けていた。ところが、2013年8月に別の医療機関を受診したところ、「感染していない」と診断された。
判決では、院長が、クラミジア感染症の判断基準となる数値を改変していたことを指摘。男性が性感染症に感染した根拠がないことを認定した。「そのすべてが、医師の診療契約に基づいて尽くすべき最善の注意義務に著しく違反する」とした。
判決後の会見で、原告の男性は「セントラルクリニックが行っていた医療が詐欺行為だったこと、私がそういった病気(性感染症)にかかっていなかったことが公の場で認めてもらえてよかった」と語った。
弁護団の服部功志弁護士は「医師に対する信頼と性病という羞恥心につけこんだ、悪質な医療詐欺だ。詐欺のハードルについて、裁判所がふみこんで判断してくれた。同種の被害を防ぐために、この判決の意義は大きい」と語った。
弁護団は、新宿区保健所などの行政機関に対して、新宿セントラルクリニックに立ち入り検査や医療監査指導を行うよう要請している。また、ほかにも被害を訴える人が、院長を詐欺罪と傷害罪で刑事告訴しており、現在捜査が進められているという。
(弁護士ドットコムニュース)