8月18日(火)放送の「白熱ライブ ビビット」(TBS系)に、「こんなに楽しい不良老人のススメ」と題されたコーナーが放送された。不良老人とは耳慣れない響きだが、要は定年後には時間とカネの余裕もあるので、やりたいと思っていたことをガマンしないで楽しむ人々のことを指すという。
60代、70代になって仕事もひと段落つき、思いっきりやりたいことにチャレンジする人々が最近増えている。老後をお洒落に、カッコ良く生きようと考える人々がいるということだろう。「暗いばかりが老後じゃない!」というのは、いい話だ。(文:松本ミゾレ)
若い女性を集めてワインを楽しむキャスターも
このコーナーのVTRには、キャスターの宮川俊二氏(67)が登場。宮川氏と言えば甘いマスクで女性人気も高い人物だけど、そんな彼は定期的に若い女性を大勢集めて、一緒にワインを楽しむパーティを開催しているという。
やっぱり常に異性の目を意識している人は、魅力に溢れている。取材に対し宮川氏は「他の人がやらないことを自分なりにアレンジできたら、老後は楽しいんじゃないかな。それがたとえ『不良老人』といわれても。そういう生き方をしていきたい」と話している。
今月26日にはバースデーライブを開催予定。自分の誕生日に自分の歌声をライブで披露するとはユニークな試みである。しかしこのおじさん、いつ見ても男前だな。
さらに番組では元広告会社勤務の倉橋さん(61)のプライベートに密着。ここ1年のうちに長年やってみたかったサーフィンに挑戦するようになった。多忙を極めた生活も落ち着き、退職後に憧れていた海への挑戦に没頭できる日々が訪れたというわけだ。
何度も波に飲まれて失敗を重ねつつも、最終的にはコツを掴んで見事に波乗りに成功する姿に拍手。60代でも努力を継続させることで、自分の好きなことや憧れていたことをやり遂げることができると、多くの「不良老人」予備軍に勇気を与えたに違いない。
僕らが還暦を迎える頃、余裕たっぷりな人生を送れているか
極めつけは、20か所以上もカスタムされたハーレーを乗りこなす露木さん(75)。なんと総額1200万円もの大金をバイクにつぎ込むほどに熱中してしまったのだとか。最近では同じ趣味を持つ仲間や元奥さんとも一緒になって、ツーリングを楽しんでいるという。
さて、この不良老人特集。最初こそ「面白いコーナーだな」とか思いながら観ていたんだけど、なんかこう、段々気持ちがダウナーになっていくのを感じた。
今回登場した不良老人たちは、キャスターだったり広告会社に勤務していたり、趣味に1000万円以上も費やすことができる、いわゆる余裕のある人々。
一方で、同じぐらいの年代でありながらも、趣味にお金を投じる余裕のない人々だっている。還暦を迎えても様々な理由で老体に鞭打って働いている人からすれば、この企画には複雑な思いが胸中に去来するに違いない。
僕個人がとにかく落ち込んだ理由は、「果たして僕らが還暦を迎える頃に、こういう余裕たっぷりな人生を送っているだろうか」というもの。ネガティブな僕の勝手な意見だけど、今からおよそ30年後、少子高齢化、晩婚化が加速するこの日本では、人口はますます減り続けて、労働力も枯渇しているに違いない。
消費税率も10%、15%を越え、もしかすると20%以上になっているかもしれない。諸々の税金が今よりももっと高くなれば、現状よりも酷い格差が日本中で見受けられることになるんじゃないかと不安なのだ。
家計調査報告書でも「世代間格差」が歴然
平成26年度の家計調査報告書によると、1世帯あたりの平均貯蓄額は1798万円ということになっている。実はこれ、あらゆる世代の平均値から算出されたものというだけで、40歳未満の平均貯蓄額は562万円と、いきなり現実的な数字になる。
一方で60歳以上の各世帯となると、平均貯蓄額が2500万円近くに上っている。そりゃあ不良老人となって日々を明るく愉快に楽しむこともできるよねって話だ。40歳よりさらに下の世代、つまり現在の僕が当てはまる世代となると、貯蓄より負債の方が目立つような散々たる数値になっているのは見逃せない。
そういえば最近、60代か70代ぐらいのグループが、電車の中で足を組んで缶ビールを飲みながら、大声で自分の若い頃の平均貯蓄額を自慢して「今の若いのはだらしない!」と憤っている場面に遭遇した。僕はそれをつり革に掴まって眺めていた。僕らの老後、明るいといいけどなぁ~。
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