ホンダF1プロジェクトの新井康久総責任者が、同社のパワーユニットの性能はすでにルノーを超えており、ベルギーGPで導入するアップデート版によってフェラーリに匹敵する出力を発揮することを目指すと語った。
ホンダはマクラーレンのパートナーとして2015年にF1に復帰したが、新パワーユニットの開発に苦労し、前半戦には多数のトラブルに見舞われてきた。
しかしマクラーレン・ホンダはハンガリーGPではフェルナンド・アロンソが5位、ジェンソン・バトンが9位とチームとして今季最も優れた成績を出した。夏休み明けのベルギーGPではホンダはパワーユニットにトークンを使用したアップデートを入れることをすでに明かしている。
新井総責任者はハンガリーの時点でホンダのエンジンは「ルノーよりずっと優れていた」と述べ、アップグレードしたバージョンは出力でフェラーリに迫ることができると予想している。
ホンダはその後、冬季のアップグレードで2016年に向けてメルセデスに並ぶことを目指していくという。
「スパでのアップグレードが今年向けの最後のものになります。次のレースでは補助的な対処を行います」と新井総責任者。
「来シーズンの開発はすでにスタートしています。Mk 4はメルセデスと同レベルになるでしょう。それを目標にしています。(スパで導入する)Mk 3はフェラーリと同じようなレベルになる。それを目指しています。大きく改善します」
新井総責任者は、ハンガリーではホンダのパワーユニットはフルパワーを発揮していたが、マクラーレンのシャシーが完璧な状態ではなかったため、パワーユニットのパフォーマンスが制限されたと示唆した。冬季テストからパワーユニットにトラブルが相次いだことで、シャシーの開発が遅れたと新井総責任者は認めている。
「(マシンの)メカニカルグリップやエアロ面があまりよくありませんでした。レッドブルとは大きな差がありました」
「GPSデータをチェックしていますが、シャシーとエアロパッケージには時間が必要です。ウイングのアングル、ライドハイト、サスペンションセッティングといったものを微調整しなければなりません」
「(エンジンの)信頼性が低かったことで冬季テストで多数のパーツを変えることになり、シーズンが始まった後もFP1でフロービズを行うなどしてデータを収集しているのです」
ハンガリーでは熱の問題を解決できたとして、新井総責任者は、自信を示している。
「シーズンをスタートする時点で、冷却に問題があることは分かっていたので、エンジンパワーをかなり制限していました」
「スペインでパワーユニットを“スペック2”にアップグレードし、排熱をほぼ完璧にしました」
「コンパクトなパッケージを採用したことで、内側のすべてに排熱の問題が多数起こり、それがMGU-HとMGU-Kに大きなダメージを与えました」
「でもついにハンガリーでは問題が起きませんでした。ようやく優れたパッケージになりました」
ベルギーで投入する新スペックに関しては、燃焼室を変更し、給排気システムのレイアウトを変えることで、燃焼特性を向上させ、ギヤトレインの変更も行うと、新井康久総責任者は明かしている。