企業に勤めるビジネスパーソンにとって、人事評価は避けては通れないもの。四半期や半期に一度、あらたまって行われる評価面談を「ユウウツ」と感じる人は、上司部下を問わず少なくないのではないでしょうか。
米Business Insiderに寄稿したクリス・パシュ氏も、従来のやり方では適切な評価ができないと指摘。面接側は「低い評価でやる気をなくされたら困る」と考えて高めの評価点を付けがちになる一方で、スタッフ側は評価点以前に評価のプロセス自体がやる気をなくす要因になっているとしています。(文:遠藤由香里)
10分ほどで行う「チェックイン」を重視
このような弊害を解消するために、世界最大の会計事務所デロイト社(デロイト トウシュ トーマツ)は、各国のオフィスで評価制度の改革を始めました。新たな評価のフレームワークは、次の4つからなります。
1.日頃の「チェックイン」
2.四半期ごとのアンケート:10問。上司からチームにメールで送信
3.四半期ごとの成果評価:上司が4つの項目に沿いオンラインで評価
4.四半期ごとの能力評価
この中で最も重要なのが、日頃の「チェックイン」だそうです。これは「業務がひとつ終わったけど、ちょっと振り返りをしましょう」という程度のもの。
頻度はプロジェクトの長さによって、週1回~月1回ほどとバラつきがあるようですが、10分ほどで終えるちょっとした振り返りです。従来の評価面談とは異なり、日常業務の中で成果を確認し、フィードバックをしています。
米国ではすでに1万人のスタッフが、この方式に切り替えています。豪州でも6000名のスタッフのうち1500名は従来の方式が廃止されており、半年後には残りの4500名についても切り替えが完了するそうです。
新方式は若手の「ミレニアル世代」に人気
豪デロイト社で人事評価部門を統括するアレック・バシンスキー氏は、これまでのやり方の問題点ついて、次のように述べています。
「これまでの評価システムでは、上司がどんな情報を欲しいのかがはっきりしなかったし、目的もあいまいでした。それに部下は、半年に1度しか仕事ぶりへのフィードバックを受けられなかったのです」
バシンスキー氏によると、この方法は社員に好評で、特にミレニアル世代(1981~1996年生)は「日常業務に基づいたフィードバックを求める傾向にあります」ということです。
同社では普段から「チェックイン」をすることで、能力評価がしやすくなったとか。バシンスキー氏は経営の視点から「チェックインを多くすればするほど、社員との結びつきは深まることが分かった」と言っています。みなさんは上司の立場、部下の立場からどう思われますか?
(参照)This is why Deloitte is banning performance reviews(Business Insider)
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